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この世に新しいものなどない。ただ、忘られたものがあるだけだ

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by 高崎健司

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かつて洋服は自分のお気に入りの布を自分で買って、自分のお気に入りの仕立て屋さんで仕立ててもらうものでした。
その中でも最高の品質のものを仕立てるお店をオートクチュールメゾンと呼びます。

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今回の映画制作では、オートクチュールメゾンを営むMay & Juneさんに、南北戦争の時代を生き、生涯ほとんど大自然の中の家から外にでることなく、白いドレスを着ながら詩作に人生を捧げたエミリー・ディキンソンの着ていたドレスをモチーフにした衣装と、そんな生き方にほのかな憧れを懐きつつ現実の中を生きる主人公の衣装をお願いしました。

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演者さんにフィットするように丁寧にコミュニケーションを取っていただき、仕上がったものは映画の物語性を組みつつも、現代性を取り入れた作品でした。

現代はたしかに様々な服がとても安い値段で手に入る時代です。
でもそれは自分だけのための仕立て服を着ていた時代と比べて、本当に豊かになったのか。
そんなことを考えるきっかけにもなりました。

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「この世に新しいものなどない。ただ、忘られたものがあるだけだ」
とはかつてマリー・アントワネットに仕えたクチュリエ、ローズ・ベルダンの言葉です。
わたしたちもかつてあった美しいものを忘れずに何かを作り届けていきたいと思うのです。

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高崎健司

yori.so gallery & label代表。心の中にある繊細さを、誰かを傷つけるためではなく、誰かと関わるために使う生き方を助けるために、ギャラリーと出版レーベルを運営してます。

1983年、千葉県生まれ。2005年、国際基督教大学卒業後、ソフトバンク(株)入社、2009年に独立。2011年、non-standard world株式会社を起業。

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portraitly

yori.so labelから新しく始まった服のブランド。
portraitlyは「肖像画のような」を表す造語。
肖像画のように着る人自身の凛とした美しさを引き出す服を目指しました。

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高崎健司

yori.so gallery & label代表。心の中にある繊細さを、誰かを傷つけるためではなく、誰かと関わるために使う生き方を助けるために、ギャラリーと出版レーベルを運営してます。

1983年、千葉県生まれ。2005年、国際基督教大学卒業後、ソフトバンク(株)入社、2009年に独立。2011年、non-standard world株式会社を起業。

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小谷ふみ

書く人。詩・エッセイ・物語未満。
うろうろと、おろおろと、揺らぎながら揺らがない言葉を紡ぎます。

夫と息子とヤドカリと、丘の上で小さく暮らしています。いまやりたいことは、祖父の一眼レフを使いこなす、祖母の着物を着こなす(近所のスーパーに着て行くのが億劫でなく、そして浮かない)こと。

本「よりそうつきひ」(yori.so publishing)・「やがて森になる」・翻訳作品集「月の光」(クルミド出版)・詩集「あなたが小箱をあけるとき」(私家版)など。

http://kotanifumi.com/

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