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柳は緑であり、花は紅である - 発行人より新年のご挨拶


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by 高崎健司

あけましておめでとうございます。

私達にとって昨年は、オンラインショップ「よりそう。」から、繊細な人がその繊細さを受容して生きていくための出版レーベル、「yori.so publishing」として再スタートを切った年でありました。

コンセプトにあえて、繊細さを「肯定」するという言葉ではなく、「受容」するという言葉を使ったのには意味があります。

自分を否定せず、肯定しよう!というメッセージは世の中に溢れていて、良いことのように聞こえますよね。

一方で、一方で自己肯定しよう!という言葉には自己否定=悪と捉えて、自己否定している自分を否定しているという部分が否めません。

自己肯定も自己否定も根っこにあるものは、今の自分のなにかの価値観に照らしあわせて、評価しようとする考えで、人の心が苦しくなるときは、そういった評価に囚われすぎているときだと思うのです。

対して、「受容」というのはそこにあるものを、自分の価値観に照らし合わせて良い悪いを判断せずに、受け入れながら生きていくという考えです。

中国に「柳は緑、花は紅」という詩があります。
自然の中にある、木々は緑であり、花は紅である、ありのままの姿が美しく、人間も自然の一部として他人のあるがまま、自分のあるがままを受け入れて生きるという禅の考え方に通じる詩です。

今、あなたの心が闇を抱えているとしたらそれを無理して否定せずに受け入れる。
今、あなたの心が明かりに満ちあふれているとしたら、それを殊更肯定せず、受け入れる。
無理して変わらなくていい。

そんな哲学をもった出版レーベルでありたいと、そう思っています。

今年は、みなさまにすでにお届けしているエミリー・ディキンソンの新訳を手紙形式でお届けする連載「あなたのいない夕暮れに」の書籍化、そしてこれからを生きる子どもたちのための絵本を作るプロジェクトに挑戦してまいります。

まだまだ白紙のキャンパスに色を塗り始めているような段階のyori.so publishingですが、今年もどうぞよろしくお願いします。

2021.01.01 yori.so publishing 発行人 高崎健司

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高崎健司

yori.so gallery & label代表。心の中にある繊細さを、誰かを傷つけるためではなく、誰かと関わるために使う生き方を助けるために、ギャラリーと出版レーベルを運営してます。

1983年、千葉県生まれ。2005年、国際基督教大学卒業後、ソフトバンク(株)入社、2009年に独立。2011年、non-standard world株式会社を起業。