原子よりも小さな物質の織りなす世界を研究する学問に、量子力学という学問があります。
そしてその中に、デンマークの量子学者が発見した「相補性」という発見があります。
それは、私たちの体も森も木も宇宙もこの世界に存在するものは、
「不完全で矛盾した小さな物質同士が関係し結びついて、一つの完全な姿になっている」
という概念です。
日本にも、芸術作品の欠けている不完全な部分をあえて残し、
見る人の想像力で完全なものに補うという禅の影響から生まれた美意識があります。
例えば、日本の美意識の結晶である茶室において、花をいける花器から飾る絵画まで、
そこに置くものは、あえて左右対称でなくバランスも取れていないものが選ばれます。
あえて安定のとれていないものを配することで、見る人がその余白の中に想像力を見出すことができるという哲学からです。
西洋と東洋、科学的な手法と詩学的手法で導きだされたものという違いはあれど、
物質は一つのものだけで完全な姿になるのではないということは間違いなさそうです。
そして人もまた、不完全さ、バランスの悪さを、互いに重なり補完しあうことで、
一つの完全さ、美しさを作れると、私たちは考えています。
atelier yori.soはそのような矛盾した2つのものが寄り添い、
重なり合うことで生まれる美しさを探求するアトリエです。
アートとサイエンス、日本的余白と西洋的装飾、 都市と自然。
そして優しさと強さ。
願わくばこの場所が現実世界で傷ついたものたちが、
一時の間その現実から離れ互いの想像力によって、
一つの美しい即興劇を作り上げた茶室のような場所であるように。
atelier yori.so 主宰
高崎健司