雫のような朗読家・天野さえかさんのこと 〜発行人から見た「あなたのいない夕暮れに」メイキングその3〜

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発行人が綴る世界の名詩を現代にあわせた新訳でお届けするボイスレター、「あなたのいない夕暮れに」のメイキング、第三回目は朗読を担当として頂いてる天野さえかさんについてです。


天野さんを漢字一文字で表すと、「雫」だと思う。
感受性が豊かで、心がいつもいろんな形に変化している人。

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あなたのいない夕暮れに」の朗読を担当してくれている天野さんは、東京都出身、おじいさまが画家という美術の血を引いた一家に生まれ、12〜15歳まで米NY州で過ごされ、外資系の仕事や学芸員の仕事をした後にうちの会社のスタッフとして働いてくれていていました。
一度、育児のためにスタッフとしては離職されましたが、家族ぐるみの付き合いは続いていて、キャンプに連れていってもらったりしたこともありました。

共通の友人経由ではじめて会ったときから彼女の声が好きで、スタッフとして働いていただいた時代も音声コンテンツを担当してくれて、彼女の朗読は日常のトゲトゲを一旦忘れさせてくれるような、「優しい闇」だと思っていた僕は今回も迷わず朗読のお願いしました。

過去に受けてもらった性格診断で「妥協とは無縁」という結果がでている、天野さん。
今回の朗読も、家事と育児で本当に忙しい中、宅録でなんども取り直して、作家の伝えたい意図を理解しながらも、こちらの気持ちを一方的に「伝える」朗読ではなく、感じ方を相手に委ねる余白を持った「伝わる」朗読になっていると思います。  

「伝わる」朗読は、やれって言われてすぐできることではなく、天野さん自身がどういう時に人がどう感じるかを繊細に感じ抜いて来た人でだから、きっとできることで。
お互いを温めあおうと距離をつめて寄り添おうとすると、自分が持っているトゲでお互いを傷つけあってしまうことをヤマアラシという動物に例えて「ヤマアラシのジレンマ」と言いますが、多感な時期にNYという異文化にいたり、人間関係におけるヤマアラシのジレンマを乗り越えてきた人なんだと思います。

この連載を聞いて頂いてる方も、彼女の朗読を聞いて漢字一文字で表すとどう思ったか、ぜひ聞かせてくださいね。

(続く)

写真・文 高崎健司