わたしをつくるもの

「置き去りにしてきたはずの憧れの景色は、 今もこの体の一部のよう。」第5回 小ネズミのトゥシューズ

小さな駅を越え、大きな通りをまっすぐ。 その角を曲がると、バレエ教室が見える。 「ああ、もうすぐ着いちゃう…」 自転車の後部座席で、 わざとモゾモゾ動いたり、靴を落としたり、 自転車が少しでも遅く着く方法をあれこれ試した… >続きを読む

わたしをつくるもの

「失くしたもの、得なかったものの分だけ、 騒がしく、にぎやかになってゆく、 記憶という鳥かご。」第2回 鳥かごに咲くもの

「わたしと一緒に暮らそうよ!」 青とグレーのグラデーションが美しいその小鳥は、 鳥かごの向こう、できるだけこちら側に近づいて、 人懐こく、そう話しかけてくるようだった。 鳥かご越し、お話ししたり、指先で遊んだり。 しばら… >続きを読む

となりあう日々

誰もみな、日々の約束の果て、 いつかは同じ、約束の世界にかえる。最終回「約束の世界」

約束の世界 数日ぶりの、雨あがりの朝。 ここずっと、グッと我慢して飲み込んだ言葉が、 雨水のように胸の底に溜まっている。 山盛りの洗濯を終わらせ、 重い心を引きずって、用事を済ませに丘の上まで。 空はこんなにも晴れ渡って… >続きを読む

となりあう日々

草木の小道にも、 人の心の小道にも、 春夏秋冬がある。第5回「葉っぱのひとり言」

葉っぱのひとり言 ある眠れない夏の夜。 眠らない川を渡り、 眠る町を散歩していたら、 園芸店らしき場所を見つけた。 草木が覆い茂る庭に、 山小屋のような、はなれのような、小屋がぽつん。 お店なのかどうかもよく分からない不… >続きを読む