福津暮らしの旅・参加日誌

自分とじっくり向き合い、目の前にある季節を味わう旅「福津暮らしの旅」参加日誌|「歴史の教科書より、生き生きとした物語」〜旅の2日目・午後〜

旅がはじまる前、一つの宿題が出されていた。

「ご先祖様について、
家族から聞いてきてください」。

きっと面と向かっては、聞きにくかった。
されど、今は東京と福岡という離れた地にいる。
電話でならば、と思い切って父と母にたずねた。

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教科書にはのっていない
生き生きとした物語

旅の二日目、午後。
二人から聞いた遠い昔話のメモを片手に、
ご先祖様紹介が始まった。

参加者のNさん、案内人の都郷さん、
福津暮らしの旅事務局の井上さん、そして私。
それぞれが語った、ご先祖様の物語は、
歴史の教科書にはのっていない、
生き生きとした物語だった。

どんな思いで生きていたのか、
物語の中から垣間見えてくるそれは、
生々しくもあった。

時代は違っても、
人は大切な人を想っていて、
自分の好きなことを楽しんでいて、
何かを失って心を痛めていた。

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親から子へ、そのまた子へ

全員のご先祖様紹介が終わったあと、
自己紹介の時と同じように
それぞれの話をひと言に表現して、
相手に渡すというワークが待っていた。

会ったことのない父方の両親について話した私は、
三人からこんな言葉をもらった。

「距離と絆」
「離れてしまった父との今後…」
「娘に、孫に」

これまで親から語られることもなく、写真も見たことがなく、
お墓に手を合わせたこともなかった、祖父母の存在。
モノトーンの風景に、彩りが増えてくる
春のはじまりのように、三人の言葉を通して、
その存在は私の中で生き始めた。

親から子へ、そのまた子へ。
会ったことがなくても、
ご先祖様が手渡してくれたものは、
知らないうちに私の中に届いていたようだ。

そして自分が伝えたものも、
いつかまだこの世に生まれてきていない
存在へと伝わっていくという、
果てしない大きな流れを想像して、
足がすくんでくる。

伝えるって奥深い。

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太陽を静かにみつめる

ご先祖様紹介を終えたあと、
夕食までは自由時間。
私は夕陽が見たくて、海辺のカフェへ移動した。
テラス席は寒い。
毛布にくるまりながら、一人海を眺めてた。

もうすぐ、お日さまが水平線に沈みそう。
となったところで、店内からお客さんが
ぽつぽつとテラスへ出てきた。

太陽が沈むまで、数分間。
テラスに出てきた、子連れの家族も、
母娘らしき二人も、みんな静かに眺めていた。
言葉を交わさず、ただ太陽をみつめていた。

沈んでいく太陽をみつめながら、
人は何を想うんだろう。

会ったことのないおじいちゃんも、
もっともっと前の時代の人たちも、
同じように太陽を眺めたであろうことは
恐らく、間違いない。

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写真提供:福津暮らしの旅 事務局
福津暮らしの旅HP:http://kurashinotabi.jp/

「想像力とは、死者の恩恵だとしたら(プロローグ)」
「20分間の自己紹介で、言葉を贈り合う(1日目)」
「地元の方が語る、恩返しの話(1日目・夜)」
「春の恵みをたっぷりいただく、野草摘み(2日目)」
「歴史の教科書より、生き生きとした物語(2日目・午後)」
「自分も誰かにとっての、小さな木(3日目・エピローグ)」

この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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