優しく生きるー 津屋崎に住む友人たちを訪ねる旅

特集|優しく生きるー 津屋崎に住む友人たちを訪ねる旅 〜エピローグ 旅のおわりに〜

こちらの続きです)

古橋さんの取材を終えたあとは、息子と共にこの街を動きまわっていると、あっという間に帰りの時間になってしまった。荷物をまとめた津屋崎ブランチに、田中さんが車で迎えにきてくれて駅まで送ってくれることになった。

博多駅、福岡空港、羽田空港。テープを逆戻りにしているかのように、日常へとどんどん引き戻されていく。情報が騒がしく目や耳に入ってくる。津屋崎にいたときの心に戻そうと必死にしてみるが、横殴りの雨と夜中の吉祥寺駅の人混みに揉まれ、すっかり心は痩せ細って自宅に帰る。翌日、目を覚ますと変わらない日常が始まった。

記事化のために、インタビューは全て録音させていただていた。普段の東京の生活に戻り、いざその録音を聞いてみると、音声の再生と共に、自分の心の中の、ある部分が再生されていることに気がつく。「優しく生きよう」と想う、そのスイッチが押されるのだ。それは旅の初日に「ばったり」と田中さん家族、木村さん、都郷さん、古橋さんに会ったときに押された「何かのスイッチ」だった。

たぶん、私が住んでいるいまこの場所にも、優しさと強さはあるんだろう。それは津屋崎で聞いた物語と似ていることも、似ていないこともあるはず。都会だから優しく生きられない、田舎だから優しく生きられる、とは言いたくないし、そうだとは思わない。いま、この場所で、優しく生きる。そう想う、スイッチをもつということ。

「優しく生きる」ことがどういうことなのか、友人たちの言葉を通して様々な姿をみることができた。共通している部分もあったし、それぞれが感じ取っている部分もあった。それを一括りにして答えを出すのは、どこか違うと今ここにきて感じている。模範解答を書くようで、それは必要ないだろうと。きっと「優しく生きる」とは、人それぞれ、土地それぞれの姿があって、それでいいのだろうと思う。それより、「優しく生きたい」と思うスイッチをもつことが大事なのではないか。その答えに辿り着いた。

そう言いつつも、私のスイッチは時々切れてしまうんだろう。それでも自分の力でそのスイッチを押せるようになりたいし、できることならばずっと再生中でいたい。

今夜も布団に入り、スースー寝息を立てている息子の隣で、真っ暗な天井を眺めながら、スイッチの様子を確かめる。明日も優しく生きよう、できる限り…ね。そう思い、目を閉じた。

IMG_0208


5日間に渡り、特集を読んでいただいた皆さま、ありがとうございました。津屋崎のことをもっと知りたいと思った方は、ぜひ地域交流センター津屋崎ブランチのHPをご覧ください。来月の特集は高崎にバトンタッチです。どうぞお楽しみに!

おすすめ

作家・小谷ふみさんの書籍を出版し、売上の10%を入院中の子どもたちを支える団体へ寄付するプロジェクトに向けた、クラウドファンティングを実施中です。こちらよりぜひ一度ご覧ください!


料理家cayocoさんが、春夏秋冬の旅を通じて人・食材・土地と出会い、その土地の保存食をバトンに食と人をつなぐ「food letters」、その旅とレシピ本の特典付き先行予約が始まりました!詳しくは、こちら


オンラインショップではよりそう。でしか買えないアートグッズやお花を取り揃えています。こちらよりぜひ一度ご覧ください!

この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocket
  • Lineで送る

記事への感想を送る

いただいた言葉たちは、大切に読ませていただきますとともに、こちらの連載にてお返事させていただいております。

お名前 (必須)

メールアドレス (必須)

メッセージ

このフィールドは空のままにしてください。