かけ算の生き方

特集|かけ算の生き方 〜エピローグ

実を言うと、今回の特集は、当初2月の特集「小さな自分の仕事のはじめ方」の男性篇として紹介する予定だった。独立して働く男性から、これまでの経緯や、雇われない生き方を選んだことの大変さや喜びを聞き出そうと思っていた。ところが取材が始まってみると、4人の男性から「不安」「悩み」といった言葉はほとんど出てこなかった。共通していることは、「夢中になれる力」が突き抜けているということ。

取材中、一番楽しそうに話してくれたのは4人共通して「philosophy」の部分だった。

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「最初のきっかけみたいなものをデザインしておくと、自由に関係を作り始めるんです」とデザインの理論について話す建築家の岩間さん。

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「世界は言語によって初めて理解される」と語るデジタルアーティストの早坂さん。

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「5本の指輪の中からついつい選んでしまう1本」になりたいと話す倉石さん。

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「顔の見える交流を一つ一つ作っていけば、それが平和に繋がる」と語る社会起業家の高橋さん。

それぞれがもっているコンセプト、信念、哲学を話しているときの目は、少年のような目だった。惹き込まれるほどに、目の奥がキラキラしていた。それは、今年小学生1年生になったばかりの甥っ子が大好きな仮面ライダーについて話してくれるときの目と全く同じ目だった。子どもがもつ夢中になれる力を今も持ち続けている、その純粋な光の一部を、言葉としていただいた。

それぞれからいただいた言葉は、どう調理すべきが悩んでしまう、みたことのない食材ばかりだった。 今回は働き方、生き方という切り口で4人をご紹介したが、本当のところこの「philosophy」の部分で取り上げられ、紹介されるべきような活躍をされている方々だ。大浦麻衣というフィルターを通したことで、面白さの鮮度が落ちてしまった部分もきっとたくさんある。

それでも調理を終えてみると、残ったものは、目の前の仕事に対して、見落としているものや、忘れているものや、拾っていないものがあるんじゃないかという、問いかけだった。「かけ算の生き方」には未来の働き方、生き方の可能性があるのでは、というスタート地点の予想は大きく外れた。それは未来にあるのではなく、もう既に自分の手の中にあるのだと。

やはり他人とは自分を映す鏡のようだ。手本という意味の鏡ではなく、今の自分を映しだしてくれる鏡なんだろう。今回は4つの鏡から映し出された自分の姿と、しばし向き合ってみたいと思う。


5日間に渡り、記事を読んていただいた皆さまありがとうございました。5月の特集は、東京を離れた土地からお送りします!どうぞお楽しみに。

この特集の目次

  1. 特集|かけ算の生き方 〜プロローグ
  2. 特集|かけ算の生き方 Vol.1「緩やかに地続きとなる仕事」建築家・岩間航
  3. 特集|かけ算の生き方 Vol.2「貪欲な独学力で世界を切り開く」デジタルアーティスト・早坂あきら
  4. 特集|かけ算の生き方 Vol.3「名脇役としての道」ジュエリーアーティスト・倉石貴通
  5. 特集|かけ算の生き方 Vol.4「人と人を繋げる架け橋になる」社会起業家・高橋邦之
  6. 特集|かけ算の生き方 〜エピローグ

お知らせ

心がひとりぼっちになった時、そっと言葉で明かりを灯してくれる本、当店オリジナル、作家小谷ふみ著書「よりそうつきひ」が発売となりました(ご購入はこちらから)。 どこか切なくて、寂しくて、愛しくて、ホッとする。なんでもない一日を胸に焼き付けたくなるようなショートエッセイが束ねられた短編集です。読んでいると大切な人の顔が心に浮かんでくる世界が広がっています。

この記事を書いた人:

「よりそう。」館長。時として編集長に変身し、ライターとして駆け回り、ドローンも飛ばしちゃいながら、訪れるみなさんをお出迎えします。好きな本は、稲葉俊郎『いのちを呼びさますもの』。好きな料理は、さつまいも料理。
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いただいた言葉たちは、大切に読ませていただきますとともに、こちらの連載にてお返事させていただいております。

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