インタビュー

自分の身の丈にあって、身近に感じるアートでありたい ー特別インタビュー 花 植物の手仕事 つぐみ

afod(アフォッド)連動インタビューの第三弾は、花 植物の手仕事 つぐみさんです。今年の7月に鬼子母神手創り市で出会ったばかりのつぐみさんに、あえて「手仕事」と呼ぶ意味や、花に関わり続ける中で感じている想いをお聞きしました。

すごく素敵な花屋さんが家の近くにできて、個人的にレッスンを申し込んだんです。

まずは生い立ちから教えてください。

生まれは名古屋ですが、ほとんど名古屋にはいなくて父の転勤が多いのでいろんなところを転々としています。現在の横浜に移って10年程になります。

小さい頃は何かやってらしたんですか。

全然。高校時代はバトントワリング部に所属していました。高校を卒業してからなにやろうかってときに、食べる事が好きなのでそれで単純に食物科に行って栄養士をとったんです。でも栄養士ってどちらかというと理系で。

計算ですか。

計算が多いんですよ。でも私は作る方が好きで。なのでちょっとその道は違うなという感じで、その道にはいかなかったんですけど。

卒業後は何をされていたんですか。

食品会社に一年半程勤めました。商品開発がやりたかったんですが、やっぱり会社って組織が身体に合わないというか。ちょっと違うなという気持があったので、他の事をみつけようと思ったんですよね。

食品会社の次は何をされたんですか。

OLのときに何かをやりたいというのが常にあって、そんなとき、すごく素敵な花屋さんが家の近くにできて、個人的にレッスンを申し込んだんです。

勇気ありますね。

花屋の立場になってからすごいこと言ったな私と思って(笑)。そこの花屋さんも受け入れてくれて半年位習っていて、仕事辞めるっていう事をちらっとはなしたら丁度欠員があるという話でそのお店で働くことになりました。

いい縁ですね。

そうですね。すごく憧れの花屋さんだったのでちょっと悩みましたけど。最初から何もできないのに入っちゃっていいのかっていうのもあったので。でも縁だしチャンスなのでそれで入ったのがきっかけですね。

そのお花屋さんの何に惹かれたんですか。

まず見たことのない花の種類がたくさんあることに惹かれたのと、センスがすごくいいというのと、今までには出会った事のない感じで。胸にくるものがあって。

そのお花屋さんのレッスンでは何を学んだんですか。

特にこれをやりましょうという感じではなくて、一応スタイルがあるんですけど、自分の好きなようにやってみてくださいという感じで。自分の表現力を大事にしていってくれるようなレッスン。 だからすごく人とか店とかに恵まれてましたね。

そんな風に自分の自由に何か作れたら入りやすいですよね。

そうですね。そういうので表現するというのが自分にとって初めてだったので楽しかったですね。

元々がすごく不器用だけど、その不器用さをカバーするような何かが多分あるんです

それまで絵を描いたりとかそういうのは。

絵心全くないんです。

例えばお裁縫がすごく得意とか。

じゃない。本当不器用なんですよ。元々がすごく不器用だけど、その不器用さをカバーするような何かが多分あるんですよね。 器用な人は綺麗な出来上がりですけど、私は本当に不器用なので形もちょっとアンバランスという感じ。 今でこそバランスがとれるように段々なってきてますけど、やっぱりどちらかというとギリギリの線をいくところで。でもそれをよしと認めてくれるような、個性として受け入れてくれるところだから良かったのかもしれないですね。

そこで働き始めたんですね。

そうですね。そこで働いて色々みっちり仕込まれまして。ウエディングもやってるし造園もやり始めてたりして。ガーデニングや、レストランなどの活けこみの仕事もありました。花束とかブーケ作ったり、配達も行ったり。

幅広いですね。

幅広いですね。いろんなことやらせてもらいまして。

そこでリースも作り始めたんですか。

リースのきっかけもやっぱりそこのお花屋さん。小さい頃に草冠とかああいうのはやりましたけど、それもきっかけかなとは思いますが、実際に作ったのはそのお花屋さんが初めてですね。

生花ですか。ドライですか。

どっちもやりますけど。実際忙しくてリースをここまで作れるっていうところなかなか少ないんですよね。日常の仕事に追われてしまって、時間がとれないんです。その中でも生花で作ったり、ドライになったものを組み合わせたりとか、こういう作り方もあるんだと知りましたね。

そのお花屋さんはどれくらいお勤めになったんですか。

5年ちょっとかな。それから次のお花屋さんに移ったんです。そこはナチュラルで個性的な雰囲気のあるお店でした。?またそこを経験した後、次は一般的な組織経営のお花屋さんに勤め別の視点から色々と学びました。今年の1月まで働いていました。

その後の活動は。

結婚もして、丁度迷っていたので1回区切りをつけてこれから活動何をしようかなというときに、自分の活動をもっとしていきたいなと思うようになりました。

自分の身の丈にあって、身近に感じるアートでありたい

つぐみという屋号はいつからついたんですか。

知り合いのお客様がカフェをされていて植え込みを頼まれたんです。そのときに一応何か名前をつけて活動していけたらなと思ってつけました。そこのカフェが近くに焼き菓子屋さんも開いて、展示できる壁があり、リースを作って飾って、そのまま売ってもらうということをやり始めました。

つぐみは鳥の名前ですか?

鳥なんですけど、あとはヨシモトバナナさんの小説です。私が小学生のときに読んだんですけど、内容もいいんですけど表紙がその時にすごく印象に残っていて。花とか鳥の柄ですごく頭に残っていて、響きもよかったし、それでつぐみがいいかなと思ってつけたんです。あと、つぐみは渡り鳥です。冬に北の大陸から越冬のため南下し、その時に日本にもやってくるそうです。少しさびしい冬の景色の中に、そっと現れる、つぐみのそこはかとない美しさに心惹かれたんです。

「花 植物の手仕事」とうたっているのは、やはり手仕事なんですか。

アーティストという感じだと私の中ですごく洗練されてスタイリッシュなイメージがあって。それより私はもうちょっと素朴で、もうちょっと身近に感じるもの。機械じゃない、手で出来る仕事で、温かみを感じる仕事をやりたいというのが一番にあって。だからなんだろう。作家でもないしアーティストでもなくて、手仕事ってことに対して、この間「身の丈アート」ってうちの旦那がぼそって言ったんですけど、自分の身の丈にあって、身近に感じるアートでありたいなと。

旦那さんすごいいい言葉言いますね。

そうですね。アイデアも割りとぱっと面白い事を言ったりはしますね。

それは創作のヒントになったりするんですか。

なりますね。こういう考え方とか物の見方というのが、私と違う視点なので結構そういうのは面白いですね。

花は切られて、その時からいろんな美しさが変化していく

リース作家ではなく自分を名乗るとしたらどう名乗りますか。

リース作家ではなくて、元々は生の花を扱っている事が多かったので、本当はやりたいですけど。でも花って切られて、その時からいろんな美しさが変化していくので、その一環で最終的にこのドライって乾燥して出す美しさというがあると思うんです。そこを最後まで出してあげれたらすごくいいなというのもあって。その花美しさというのが最後まであるので、そこを綺麗だなと思って、それから割とドライは好きになってきましたね。

だんだん好きになっていったんですか。

そうですね。別に嫌いなわけじゃないんですけど、どちらかというと生花に目が行ってて。「これはいつまでもちますか」とか「どこまでがこれは枯れていないんですか」とかいうのをよく花屋時代から質問を受けるんですけど、私の意見だと最後は別にないというか。

最後はないんですか。

最後はない気がするんですね。だからその人が例えばこの花はここまでで役目を果たしてもらったと思えば、そこが最後という感じかなと思うので。どの位もつかというのも、別にいつというのは本当にないですよね。

どれだけかわいい子を連れて帰ってこれるか

素材は自宅で乾燥させているんですか。

はい。花を仕入れてきたりして干して乾燥させて、それで作っていくということの繰り返しです。

乾燥は技術がいるものですか。

技術というか、見極めがすごく難しくてよく失敗もするんですよ。やってみないとなんともいえないのでそれが良さですね。自然の。

市場で仕入れるんですか。

そうです。拾ってくるとこから本当はやりたいんですけど、なかなかそれは難しいですね。 色々なスタイルの花屋さんというのがあると思うんですけど、仕入れ元は結局一緒なんですね、みんな。選ぶときのポイントは、自分の中でいいものを選んでいくので、その差が出てくるんですね。

面白いですね。自分を出せる。

そうですね。まず仕入れのところで、どれだけかわいい子といういうか、植物を連れて帰ってこられるかというところなので。

今「かわいい子」っていう言葉がありましたが、そういう思いなんですか。

そういう感じですね。店で売るときも仕入れる思いがあるのでそれでお客さんにもすすめられますね。熱く語っちゃう(笑)。

何年後かに全然違うスタイルになってても面白いかな

今はリースをどういう時に作ってるんですか。

私、結構気分屋というか、のってこないとなかなかすすまなくて。だから追い込まれてやるタイプ。例えばいい材料が入ったときとか、何かをみていてこういう感じでやってみようというときに、ばーっと作ったりとかします。

例えばどういうものがあるんですか。

ふとしたときに買い物をしていて見たディスプレイとかもそうですし、商品もそうですけど、お菓子選んでてもこういう並べ方面白いなとか、こういう形とか質感出せたら面白いかなとか。言葉でも何か雑誌を見ていてぽんと入ってきた言葉が、これ形にしてみたいとか。

(クグロフリーフをみながら)これ本当に珍しいですね。見たことがないような形で。

最初にこういう形を作ったのは、立体的な感じを作りたくて。リースは丸で割りと5センチくらいの形のあつみでというのが多いんですけど、置いても立体で見えて、飾っても立体感が出せたら面白いかなと思って。そこでケーキ屋さんに行って、クグロフというお菓子をみつけて。ちょうど展示販売する場所が、焼き菓子屋さんというのもあったので作ってみて、思ったより反応があったんです。

独創的な形ですよね。

他にも何かそういうので出来ないかなという。日々葛藤ですよね。もっとシンプルなのが本当は好きなんです。渋い感じとか。サビが好き。売っていくにあたって、なかなかそれだと引かれてしまうところもあるので、その辺のバランスが難しいなと。

そうなんですね。売れるものと作りたいもの。

そうですね。最近はその時に作れるものが作れていればいいかなと思うので、何年後かに全然違うスタイルになってても面白いかなと思ったり。 なんかもっと変われたらいいかなと思って自分の中で。

これからもどんどん進化するというか。

進化できるかわからないですけど。ここって決めてしまわないでいけたらいいかなというのはありますね。

飾っておいてここがちょっと違うなと思ったら、どんどん直していきます

作るときはデッサンとかしてから始めるのか、それとも材料を選らんで作るのかどっちですか。

私はどちらかといえば材料を見てが多いですね。 大体おおまかなイメージは、例えば季節の色見を出したいなとか、カラフル系でやりたいなとか。漠然とそういうのを思いつつ、素材を市場に見に行ってばーって買ってきて合わせていくという感じですね。

夢中で作っていく感じですか。

夢中なんですけど、ちょっと引いてみたりとか、1回休んでまた客観的に飾って、ここがちょっとなーというのはありますねよく。だから最後があまりないというか、飾っておいてここがちょっと違うなと思ったら、どんどん直していきますね。

終わりがないというのは。現代美術家の安田悠くんも同じを事を言っていました。

いいか悪いか分らないです。本当はこれで完璧って思った方が、作品の意気込みが違う気はするんですけど。飾ってみて日常ちょっと遠目で見て、ここがやっぱりちょっとと思ったら直しています。

男性の方にお花を普通に持っていって欲しい

つぐみさんのご自宅をみて、壁にかけたりつるしたり置いたり、いろんな飾り方があるんだなと思いました。

例えば外で拾ってきた葉っぱ1枚を箸置きにしてみたりとか、そういうのでも季節感が出ると思います。日本の素敵なところって、四季だと思うので、四季を出すのが一番いいなとは思いますね。

おうちの中に自然の一部を持ってきて。

はい。植物って一個あると、だいぶイメージが変わるので鉢を一個置いてもかっこいいと思いますし、生活の中に植物が入ると心が安らぐというか、そういうのをもうちょっと広めてはいきたいですね。

今後は何かやってみたいこととかありますか。

とりあえずまだ活動し始めたので、じっくりやっていきつつ、生花もちょっとやりたいので期間限定の花屋さんみたいなのとか。

面白いですね。

はい。後は花をやっている当初から男性の方にお花を普通に持っていって欲しいというのがあって。一輪とかでもいいしブーケでもいいしリースでももちろんいいんですけど、それを隠すことなく堂々と「今から食事行くから一本包んで」みたいな感じでさっと持っていけるような感じを、もっと広めたいというのがありますね。

すごいいい夢ですね。そういう日本人男性増えて欲しいですね。

そう。お花を買ってもらっても、男性の方は上を隠してくださいって10人中9人は言いますね。

どうやったらそんな男性が増えると思いますか。

一般的に昔から思われている花屋というのが、バラにカスミソウというイメージがあるみたいで。男性の中で多いのは、何を選んでいいかわからないというのがあるからそれを選んじゃうのかな。別に女性が好きなわけではないので、提案していく側がこういう感じだったら男性でもどうですか、というようにできればいいですよね。

もうちょっと入りやすく。

そうですね。それは本当に前からずっと思っていて。今どちらかというと女性より、男性の方にもっと身近に感じて欲しいというのはありますね。

つぐみさんの作品をぜひ、男性から女性へのプレゼントに選んでほしいですね。今日はどうもありがとうございました!

Interview: Mai Oura (non-standard world, Inc.)
Photo: Kenji Takasaki (non-standard world, Inc.)


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この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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