インタビュー

afod連動インタビュー|vol.1 安田悠さんとアート

afod(アフォッド)連動インタビューの第一弾は、iPhoneケースでコラボレーションさせていただいた現代美術家・安田悠さんです。non-standard worldとは長い友人関係でもある安田さんに改めて「アート」について聞いてみました。普段はなかなか聞くことのできない、制作に対する想いなどを教えてくれました。

「あ、絵を描けば褒められるんだ」と思ったのが、はじまりです。

もともと絵を描き始めたきっかけは何ですか?

小学校1年から絵画教室に通っていたんですけど、その年に学校の絵画コンクールで賞を取ったのがきっかけです。子供心に、「あ、絵を描けば褒められるんだ」と思ったのが、はじまりです。

賞を取ったのは、どんな絵だったんですか?

一年間の思い出を描くというのがテーマで。僕は運動会の絵を描いたんですけど、今思うと、構図が普通じゃなくて、たしかに面白いなと。今、自分が審査員だったとしても、こいつ面白いなと思う感じの絵でした(笑)。

その後は、どうやって絵を続けてきたんですか?

絵画教室は中学1年までで。実は、絵画教室に行ってもかっこよくないと思って、中学の間はやめたんです。だから美術の授業だけで。でもいざ高校受験になったとき、進路相談で、美術推薦のある高校を進められて。それで入った高校で、がっつり美術をやりました。大学は、教育大学の美術科に行って。もともとは、教免も取れるし、いざとなったら先生になろうかなと思って、進学しました。でも大学3年ぐらいの時に、このまま、自分の表現が曖昧なまま、高校の美術の先生になるのはいやだなと思って。それで、美大の大学院を受けました。

絵を描く中で、作家になろうと思ったタイミングは、いつでしたか?

漠然と考えていたのは、大学院を目指した頃からです。でもより具体的には、大学院に入ってから。周りも作家を目指すのが当然というような環境で。そこで感じたのは、「はい、なんでも描いていいですよ、自分の表現をしてください。」と言われたときの難しさ。でも、そこにすごく魅力を感じたんだと思います。自分が表現したいもの、自分にしか表現できないものって何だろうって考え出したころから、作家になるということを意識しました。

それは一大決心だったんですか?

決心は何にもなかったですね(笑)。人が悩んで考え込むことを、あまり深く考えず、とにかくやってみようというタイプなので。わりと自然に、描きたいものがあって、でもわからないことがあってっていうのを楽しみながらやってきたので。もう後戻りはできないですよね(笑)。

最近は、色彩や筆跡で表現する方向になっています

6年間の作品を振り返っていただけますか?

大きな流れとしては、大学院修了後の数年は、わりと具象というか、現実的な風景を軸に、少し非現実的な要素も入れながら描いていて。身近にある思い出や風景を、自分の中に取り込んで表現するという形で、自分で撮った写真とかを軸に作品にしていました。

でも2、3年前から、具体的な風景に対する疑いが出てきて。「そこに木を描かなきゃいけない理由があるんだろうか」とか。だから最近は、それが無くても風景らしく画面が成り立つんじゃないかという期待感を持って、色彩や筆跡で表現する方向になっています

では具体的に見ていくと、2006年の作品はどうですか?

自分は好きなんですよ、この頃の作品。この頃の絵って、自分と作品の距離が近くて。届きそうで届かないっていう微妙な距離感で作品が仕上がってる。良いとか悪いとかではなくて、最近は、距離感という意味では少し遠いですね。

テーマも、日常のまわりのテーマ。描き始める前から、モチーフとか構図は決まっていて。最近は逆に、描き始める前にはイメージを持たずに書き始めていて、でも自分すら想像し得ない風景を作れるようにはなっています。


Suddenly / Oil on Canvas / 1455x1455mm / 2006

2007年の作品は?

この頃はあんまり悩んでないですね。描きたいものが次から次へと出てきていて。構図とかを悩んだことはありますけど。2008年のワンダーサイトぐらいまでは、あまり悩まず、のりにのって描いてました。その中で、絵の具の筆跡が面白くなってきて、その部分だけクローズアップしてみて、抽象的な作品も入ってきました。


Air Shines / Oil on Canvas / 1303x1303mm / 2007(トーキョーワンダーウォール賞受賞作品)

2008年にはVOCA展にも出展してますよね。VOCA展はどうでしたか?

VOCAの作品は悩みました。展示の位置づけ的にもプレッシャーは感じて。若手でもギャラリーが決まっている作家がほとんどの中だったので、当時ギャラリーに所属していなかった自分が出すことについて。でも、本当に期待の持てる作家を推したいからというところで、推薦してもらって(※VOCA展は推薦制)。この頃も、完成のイメージがある状態から描き始めてましたね。


Link / Oil on Canvas / 2273x1818mm / 2008(VOCA展出展作品)

2009年は、作品に抽象の要素が入ってきていますよね?

2009年の個展と、TOYOTAの作品の頃から、抽象的なものを意識してます。ひとつは、その年にオーストラリアに行って、車でまわりながらテントで過ごす3〜4週間を経験して。自分は風景画を描いていて、現地で写真撮っても、カメラのフレームに、その見たことがないようなその風景のすごさが、収まらない感っていうのを、すごい感じていて。それはひとつのきっかけだったと思います。


Between / Oil on Canvas / 910x910mm / 2008(トヨタ自動車所蔵作品)


Merry-Go-Round / Oil on Canvas / 1000x652mm / 2009

2010年の作品はどうですか?

抽象を経て、少し戻ってきましたね。所属ギャラリーがYUKA CONTEMPORARY(現YUKA TSURUNO)に決まってからの個展の作品は、2006年の作品につながるものがあると思います。というのは、2006年頃の作品に、自分の大事な要素があると思っていて、いろんな描き方をしていても、何かそことつなげたいなと思っていたんです。そのころの、作品と自分が近い距離感を盛り込みたいなと。


Fusion / Oil on Canvas / 910x727mm / 2010

その個展を経て、2011年はどうでしたか?

2010年末の個展を終えた後、またちょっと自由になってますね。展示ごとのタイミングであったり、自分自身のことを考える時期が時々であるんですけど、そういうときに、次の方向性が見えてくるんです。だから展示ごと、年ごとで少しずつ変わって来たなと思います。

あまりまだ、描き方を固めようとは思っていなくて。かけ離れたくはないけど、同じことはしたくない。いつかはそういう時が来るかもしれないですけど、まだ固めるほど、自分の中で成果が出ているとは思ってないので。


Misty rain / Oil on Canvas / 455x530mm / 2011

2012年以降、今後はどうなりそうですか?

2012年前半は、少し抽象的な表現の方向で振り絞りすぎて、その描き方に対する不安感が出てきていて。抽象的であるからこそ、自分の中で完成の手応えが見えづらくなっていて。だから、自分はこれを描きたい、という自己主張があるような、具体的なモチーフを探している最中です。今は、失敗作を作るぐらいの勢いで、完成を目指さない作品をいろいろ描いているうちに、次の方向性を見つけたいと思ってます。


Sorrow / Oil on Canvas / 652x530mm / 2012

思い悩みすぎず、思い悩むこと。

では、絵を描くときに大切にしていることは何ですか?

思い悩みすぎず、思い悩むこと。考えることも大事だけど、悩みすぎたら進まないので、そのバランスだと思います。とにかく描くことと、ふと筆を置いて、絵や自分のことを考えること。そういう制作の仕方をしています。

最近は、描き始めに完成のイメージは持たない、ということですが、どのように描き始めるんですか?

最初はイメージはまっさらな状態で、絵の具を置くことから始めます。最初に置いた色に対して、連鎖反応のように描いていきます。そしてその画面に対して人間が必要であれば、描く、というような流れです。

色から入るんですね。

最近は、色から入ります。なんでこんなに色へのこだわりが強いか、自分でも知りたいです(笑)。

最初に置く色はどうやって決めてるんですか?

個展などまとまった作品を描くときは、作品同士の並びのバランスを考えます。そういうのがないときは、とにかくばっと絵の具をつけて、それをざっと流してみて、違うと思えば拭くし、という感じです。

制作中に、消したり、描き直しはしますか?

変えたいわけじゃないんですけど、最近、変えて行かざるを得ないですね、というのは、完成イメージを作らない状態で始めるので、納得できない時には消してまた描いて、の繰り返しです。4回ぐらいつぶして、描き直したりします。

制作にかかる日数はどのぐらいですか?

例えば、30×45cmぐらいの作品であれば、1〜2週間で終わるのがベストですかね。大きい作品は、スムーズに行けば3週間、スムーズに行かないと2ヶ月かかかります。

それだけの期間、モチベーションを保つのは大変ではないですか

いや、描きたくなくなりますよ(笑)。もう1年ぐらい描きたくない、みたいな。納得いかずに消したのに、消さなきゃ良かったと後悔してっていうのを、3回ぐらい繰り返したり。でも結局また、展示が始まってしばらくすると描き始めるんですけどね(笑)。

展示は、作家活動の中でどういう位置づけですか?

展示はしたいですね。展示に向かうまでの期間が大事だと思っていて。展示が始まると、自分からぽんと切り離されて、次に向かっちゃいます。でも追い込んで描くために、必要なものだと思います。

同じ展示でも、4年間、ギャラリーに所属せず展示をしていた時は、いろんな人の意見があまりにも直接自分に届くので、パニックになるというか。その人にとっての意見で、すべて気にする必要はないんですけど、気にしてないふりをしてても、実はすっと入って来ちゃうから。そういう意味ではギャラリー所属だと、良い形の距離感を作れるというか、大事なところを、ギャラリーを通して聞けるというふうに感じています。

一回気持ちをリセットするために、寝ます。

ところで、絵画以外に、好きなアートはありますか?

写真を見るのは好きです。フレームに入ってる感じが自分の中で好きなんです。そういう制限があるのは、単純に好きな世界だなと。

制作していて煮つまった時などは、どうしていますか?

一回気持ちをリセットするために、寝ます。その余裕もないときは、外を走ってきたり、で、結局疲れて寝たり(笑)。あとは風呂に入るとか、一回気持ちを区切るっていうことをしています。

普段はどんな環境で描いているんですか?

アトリエは自宅の一室に、自分で壁と床を作っていて、壁に数枚キャンバスを並べて、順次描くというかんじです。夜中が集中できるので、時間帯は夜が多いです。

音楽など聞きながら?

そうですね、歌のないインストの音楽を何かしら流してます。

では、今回のiPhoneケースの仕上がりを見てみて、どうですか?

いやー、ここまできれいに出るのは、予想以上の仕上がりですね。良いと思います!

このiPhoneケースを使っていたら、かなり素敵ですよね。
今日はありがとうございました。

「自分の絵を気に入って欲しいと思ってくれても、作品を購入するのはなかなかハードルが高いこともある。このiPhoneケースは、そういう人たちにも気軽に持ってほしい」と話していた安田悠さん。

iPhoneケースとして日常の中で安田悠作品を楽しむことはもちろん、パッケージには同じ作品のポストカードも入っているので、そのまま飾っておく使い方も素敵です。

ポストカードには作品と同様に、一枚一枚、安田悠の直筆サイン入り。

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Interview: Shota Sato (non-standard world, Inc.)
Photo: Kenji Takasaki (non-standard world, Inc.)

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この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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