本とおやつ

〜目指せ!煮豆ばあちゃん〜『つるとはな』と煮豆

ハンバーグや卵焼きには飛びついていたけれど、お弁当の隅っこにいるこの存在には、全く興味はありませんでした。自分も作れるようになりたいと思い始めたのは、10代20代の頃に描いていた、「こんな大人になりたい!」という未来像のアップデートの時期と同じだったのかもしれません。

OLになって、海外旅行に行って、結婚をして、子どもを産んで。憧れていた夢は少しずつ叶っていって、さてこの先、どう歳を重ねていこうか。

雑誌「つるとはな」に登場するのはあくまでも普通の人々。有名人の輝かしい歩みを紹介するのではなく、隣に住んでいるじいちゃんばあちゃにスポットライトを当て、手を握った時のシワやぬくもりさえも伝わってくる記事がズラリ。雑誌を閉じた後も、映画のエンドロールのように、余韻が日常にひたひたと残るのです。

「昼でもなく夜でもない、終わりであり、始まりでもある。辛い過去の出来事も、よいこと、悪いことという視点を超えるところから見つめ直せる、そんなトワイライトなお年頃。」

どう歳を重ねていこうか。決してその答えをくれるわけではないけれど、かすかな光が差してくる。あら、この先けっこう楽しそうじゃん、と。

母が作る煮豆は黒豆ではなく、決まって金時豆でした。ほんのりした甘さとくずれる直前の絶妙な柔らかさ。一度だけ試しにつくった煮豆は、赤点レベルのとんでもない味でした。煮豆が上手に作れるようになったら、今の自分がなりたい姿に近づくのかしら。どうやったってこの味を再現できるわけはないんですけどね。

お知らせ

心がひとりぼっちになった時、そっと言葉で明かりを灯してくれる本、当店オリジナル、作家小谷ふみ著書「よりそうつきひ」が発売となりました(ご購入はこちらから)。 どこか切なくて、寂しくて、愛しくて、ホッとする。なんでもない一日を胸に焼き付けたくなるようなショートエッセイが束ねられた短編集です。読んでいると大切な人の顔が心に浮かんでくる世界が広がっています。

この記事を書いた人:

「よりそう。」館長。時として編集長に変身し、ライターとして駆け回り、ドローンも飛ばしちゃいながら、訪れるみなさんをお出迎えします。好きな本は、稲葉俊郎『いのちを呼びさますもの』。好きな料理は、さつまいも料理。
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