よりそうつきひ

そばに家族がいることは、どんな薬よりも生きる力になる。作家小谷ふみさんによる、ドナルド・マクドナルド・ハウスのレポートをお届けします。

「子育ての時期というのは、ずっと続くように思える。
でも、子どもが親を本当に必要とする時間はとても短く、親子が親子らしくいられる時は、あっという間。

病によって、親子が引き裂かれる時間が、どうか、少しでも短くなりますように。」

こんにちは、店長の大浦です。

作家・小谷ふみさんの連載+書き下ろしをまとめた本「よりそうつきひ」の出版につきまして、これまで本づくりの裏側紹介スタッフ座談会などでご紹介をしてきましたが、今日は売上の一部の寄付先であるドナルド・マクドナルド・ハウスを見学してきた小谷さんのレポートをご紹介します。

小谷さんが入院中の病室の窓から見つめていた小さな灯り。その場所に実際に立ち、受け取ってきたものをみなさまへ繋ぎます。


ドナルド・マクドナルド・ハウス財団・ふちゅうハウスに行ってきました
17.09.13

夜9時。面会時間を終え、
幼い息子と家族を見送ったあと、
一緒に家に帰りたくて泣きながら歩いた、長い廊下。

その細長い病棟の隣に、その建物はあった。
ドナルド・マクドナルド・ハウス財団の運営する、
「ふちゅうハウス」(東京都・府中市)。

今回のプロジェクトで寄付先に決めた、
小児総合医療センターと神経病院と提携している、
入院する子どもたちの親御さんの宿泊施設だ。

先日、実際におたずねすることができ、
私が入院していた病棟の、
道路を挟んで向かいの場所にあることを、
初めて知った。

玄関に続くエントランスは、花壇の道。
無機質な病院の帰りにこの道を歩くと、
季節の存在をはっと思い出す。
エントランスの中に入り、
真っ先に目に飛び込んで来たのは、
イーゼルに描かれた「おかえりなさい」の手書き文字と絵。

親になって、心細くても踏ん張らなきゃいけない時、
誰かに「おかえり」って言ってもらえると、
どれほど、ホッとすることか。

ふちゅうハウスのマネージャーの向井さんと、
初めましてのお話。

ドナルド・マクドナルド・ハウスが、約40年前にアメリカで始まったこと。
日本ではまだ15年と若く、認知度もまだ3割くらいであること。

テレビCMなどで宣伝をしたこともあったけれど、
「募金は、家族のために使いたい」との向井さんの言葉に、
「知ってもらう」ことの大変さと大切さを改めて感じた。

お話したお部屋には、壁一面の本。
すべて寄付によるもの。

この本棚の一冊に加えて頂けるような本を作らなくてはと、
気が引き締まる思いがした。

それから、ボランティアで関わっていらっしゃる、
職員さんのおひとりにハウス所内を案内して頂くことに。

偶然にも、その方は私の友達の友達で、
数年前に流しそうめんの竹の本格セットをお借りしたことがあった。
意外な嬉しい再会に、
地域での繋がりのなかで、そこに関わる人々が、人々の想いが、
ハウスを支え、育てていることを知った。

そして、彼女がまず案内してくださったのは、
滞在する皆さんが集うリビングのようなスペース。

家族が入院していると、どうしても外食になりがち。
ここには、立派な台所セットが。
冷蔵庫などの電化製品や、お米などもすべて寄付によるもの。

疲れた時、寂しい時、頑張れない時、
コンビニで買えない、人の手が結んだおにぎりは、
一個でも力になる。

続いて、見せて頂いていいのかなと躊躇いながら、
家族が滞在するお部屋へ。

ふちゅうハウスには、12家族が1泊から滞在できる。

部屋に入ってすぐに目に留まったのは、デスクの上の一冊のノート。

表紙をちょっとめくった瞬間に見えた言葉に、
こらえていた涙がとまらなくなる。

「パパとママがついているから。絶対、元気になろう」。

待っていてくれる人がいること、
そばに家族がいることは、
どんな薬よりも、生きる力になる。
元気にならなきゃと、心と体が、ぐっと強くなる。

そのことを私も痛いほどに分かるため、
初めて訪れた先だというのに、
ぐすぐす鼻水と涙がとまらなくなり、
見学を終える頃には、帰り道がよく見えなかった。

子育ての時期というのは、ずっと続くように思える。
でも、子どもが親を本当に必要とする時間はとても短く、
親子が親子らしくいられる時は、あっという間。

病によって、親子が引き裂かれる時間が、
どうか、少しでも短くなりますように。

ドナルド・マクドナルドハウス募金は、
「はなればなれの わが子と、一緒にいられる募金」。

長い長い病院の夜。

苦しくて目覚め、
泣きながら目覚め、
その度に外に目をやると、
いつもそこにあったのは小児病棟の小さな灯りだった。

時折、誰かの人影に揺れていたあの灯りは、
手を振る希望の光のようだった。

「大丈夫、ここにいるよ。元気になろう」と。

追伸
エントランス入ってすぐのドナルド君は、
小さなお子さんには刺激が強すぎるらしく、
退院されてここにお泊まりになる時は、
カバーが掛けられることもあるとか…
縁の下の力持ち、ですね。
おつかれさまです!


小谷さんのレポートを読んで感じたのは、私もどうにか役に立ちたいという、もどかしさも含めた強い気持ち。今、目の前にいる子どもと離れ離れになることを想像するだけで、胸が張り裂けそうになるけれど、きっとそれは味わったことがある人でしかわからない悲しみだと思います。想像しているだけの私は、そのひとかけら分もわかっていない、と。

それならば、私にできることは、私たちのお店ができることはなんだろう。そう考えたとき、小さな力でしかないけれど、一人でも多くの人と共に本づくりの道を歩んでいただくことだと、改めて決意をしました。

きっと、子育て中の人も、そうでない人も、家族が共に過ごす時間の尊さを知っているはず。お金は、その人の心やエネルギーを伝えたり、循環させてくれる力があります。ここに集まる心とエネルギーを、あの病棟の小さな灯りの元へ。

クラウドファンディング先行予約の受付は9月末まで。共に歩んでくださる方を、お待ちしています!

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この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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いただいた言葉たちは、大切に読ませていただきますとともに、こちらの連載にてお返事させていただいております。

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