インテリア入門

家への愛着が増すインテリア入門|理想の部屋を真似する前にしたいこと。

部屋のインテリアを決めるとき、まず何から始めていますか?
いいな!と思うインテリアを雑誌やSNSで探して真似する?
ごちゃごちゃしないように、色や素材を統一する?

これらも一つの方法ですが、建築家の岩間航さんに教えていただいたヒントは「それはやってなかったなぁ」と、ちょっと意外なものでした。

岩間さんがオーナーを務める、東京・西荻窪の「タスカフェ」でお話を伺います。

──自宅のインテリアを考えるとき、理想のイメージを雑誌やSNSで集めたりするものの、どこから手をつければいいのか全然分からないのです…。まず何から始めたらいいのでしょうか?

岩間:「この通りでなければいけない」ということはありませんが、今までの経験から僕なりの考え方をお伝えしますね。

1.空間全体を観察する

岩間:まず部屋全体をじっくりと見ることが、一番の入り口だと思います。壁や床はもちろん、家具・小物・光・影など、今あるもの一つひとつを観察します。色は?形は?素材は?高さは?光の落ち方は?と見ていく。

このとき僕は、窓から見える外の景色にも注目します。例えば「木が見えるな」「ここに座ると、こういう景色が見えるな」「どういう光が空間内に落ちているかな?」というように。

そうして、いいなと思うところや、面白いと思うところを探してみてください。一見、狭いとか古いとかネガティブな印象でも、いいなと思えるところは必ずあるはずです。

物件によっては、テレビのコンセントの場所や生活の動線など、コントロールできない初期状況もあると思います。その場合は初期状況に従って置いてみてから、部屋全体を観察するのもやりやすい方法だと思います。

2.“関係性”を見つける

岩間:次に、モノとモノの関係性を見つけていきます。例えば「窓の枠と絵の枠、形が似てるな」「色が一緒だな」とか、そういう共通点を。形・高さ・大きさ・素材・色・音・光・影など、どんな関係性でも大丈夫です。

窓の枠と絵の枠が、どちらも長方形

3.関係性を活かすように配置する

岩間:先程見つけたモノとモノの関係性を感じられるように、家具や小物を配置します。例えば「窓の枠と絵の枠が、同じ長方形」という関係性が見つかったら、絵と窓を近づけて、長方形という意味の流れをつくります。

部屋全体を観察した際に見つけた「いいな」「面白いな」と思った箇所を活かす関係性の配置ができると、とても素敵ですね。

──どんな関係性を見つけて、それをどう活かしてモノを配置したかが具体的に分かるものってありますか?

岩間:これは僕がリフォームをした物件です。玄関から入ると下図の通り空間があるんですね。

岩間:もともとは椅子の手前にドアと壁があって仕切られていて、全然外が見えなかったんですよ。玄関から入ってきて外が見えたら、すごくいいですよね。

──はい、奥に抜ける開放感があってとても素敵です!

岩間:ここで見つけた関係性はこんな感じです。

関係性①:窓の外に見える木戸の黒と、椅子の黒。
→黒という関係性が飛び石みたいにつながるように、椅子を配置しました。

関係性②:外の木と、飾った一輪の実。
→中に一輪飾ることで、植物という関係性が外と中のつながりを生んでいます。

関係性③:窓の形と、テーブルの形。
→窓と同じ四角になるように、テーブルの形を決めました。

──これが普通の脚が四つあるテーブルだと、いかにも「テーブルがあります!」って見えると思うんですけど、四角になっていることでテーブルが自然と溶け込んで、部屋全体に目がいきますね。

岩間:元々の発想は来訪者のためにテーブルをどけられるようにしたいという希望からだったんですが、こういう素朴な形にした方が窓をじゃましないかなって。

──同じ形・同じ素材などの関係性を見つけて配置すると、空間の中に流れが生まれるんですね。意味の伏線があるなみたいな。

──空間づくりの素人としては、新しく家具を揃えるとき「茶色と黒をベースにしよう」みたいに統一することから考えていました。

岩間:ある特定の色だけと限定してしまうと、それ以外の色が入ってきたときに破綻してしまうんです。空間に置くもの全ての色を完全にコントロールすることはできないと思うので。

──そうすると全部の家具を同じ素材にするよりは、同じ茶色の中にも木とプラスチックというように、素材に違いを持たせた方が良さそうですね。

岩間:そうですね。同じ茶色の中でも一つは木の素材で、もう一つはプラスチックと違いをもたせておけば、異なる色の家具が新たに入ってきても「素材」で関係性を見出せる確率が上がります。なんとなくテーマを決めたとしてもその中で違いを見つけておけば、また別のモノとの関係性をつくることができるので、楽しいし自由な感じ。

そしてベースの色を決める場合も、まずは空間をよく見て欲しいと思います。空間によってはもともと全然違う色が入っていて、変えられないという状況もあると思うので。

──私のような空間づくりの初心者に、これだけはやって欲しい!とオススメしたいポイントはありますか?

岩間:やっぱり外との関係性だと思います。インテリアとはいえ、外の力を活かせると一気に可能性が広がります。どうしても室内のことばかり考えちゃうと思うけど、まず外とつながっている窓に目をやって、「どういう角度だったら、どういう景色が見えるか?」と観察してみる。

さっき雑誌で見た物件のように、外と部屋の中でつながりがあると空間が広く見えます。ここを活かせるのが一番良くなるポイントかな。

──なるほど。部屋の中だけではなく外も含め大きく見ること。そして外とのつながりの要素を室内にどう活かせるか考えるということですね。

岩間:あとは家具や小物をなんとなく色んなところに置いているうちに、「ここなんかいいなー」っていう場所を見つけることもたくさんあります。「なんでいいんだろうな?」って思ったときに、「あ、こんな関係性があるからかな」って後から関係性が見つかることも。

なので最初からすごく意図しなくても、やってみてそこから発見してという感じで自由に試してみていただけたらと思います。

いかがでしたか?インテリアの初めの一歩は、窓から見える景色を含め空間全体を観察すること。

インタビュー取材を終え自宅で実践したところ、窓から見える開けた街の景色と、山の天辺にあるお城に驚きました。「そういえば家からお城が見えるってすごいことだよね」と夫と話したほど、当たり前すぎて存在を忘れていたのです。

窓から見える景色も部屋の特徴も、今いる空間ならでは。そこに雑誌で集めた部屋の理想像をペタッと貼り付けても、しっくりこないのは当たり前なのかもしれません。

今、窓からどんな景色が見えますか?部屋の壁の色、素材はどうですか?「ここがいいんだよね」と思える個性が見つかって、家への愛着が増えますように。

明日は空間づくりの魅力について、岩間さんと考えていきたいと思います。そこには子どもの頃に戻ったようなワクワク感がありました。

<つづく・明日公開>

写真:佐藤昭太


<プロフィール>

岩間航(いわま・こう)
1972年生まれ。東京理科大学理工学部卒。ベルラーヘインスティテュートアムステルダム(BiA)修士卒。 岩間航設計事務所(Co Urbanism & Architecture)主宰、タスオルグ、タスカフェ、+床(タストコ)主宰。
http://www.c-u-a.com/

この特集の目次

  1. センスに自信がなくても大丈夫。分かりやすいインテリア入門。
  2. 家への愛着が増すインテリア入門|理想の部屋を真似する前にしたいこと。
  3. 正解にとらわれない、自らの視点でつくりだすインテリア。だからこそ居心地がいい。

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この記事を書いた人:

よりそう。のスタッフ。お店のSNSを担当。 数年ごとに住みかを変える転勤族。いつか森の湖畔にある、小さな家に住むのが夢。InstagramやPinterestで、素敵な画像を集めるのが趣味。
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