インテリア入門

センスに自信がなくても大丈夫。分かりやすいインテリア入門。

SNSで見かけるおしゃれな部屋。居心地のよいカフェ。自分の部屋もそんな空間にしたいという思いはあるけれど、
「センスがない」
「何から始めたらいいかわからない」
「実際にやってみたけど、全然イメージと違った」
と思ったことはありませんか?何を隠そう、私小栗がそうなのです。理想とする部屋のイメージをInstagramやPinterestで集めるものの、自分の部屋は何かが違う。

センスが良い人の頭の中はどうなっているんだろう?そんな疑問を解消できたらとお話を伺ったのは、建築家の岩間航さん。

インテリアに限らずとも、センスって感覚的で分かりにくいと思っていたのですが、誰にでも実行できる具体的な考え方を教えていただきました。

岩間さんがオーナーを務める、東京・西荻窪の「タスカフェ」でお話を伺います。

左:岩間さん 右:小栗

──岩間さん、今日はよろしくお願いします。まず初めに、岩間さんはどんなお仕事をされているんですか?

岩間:岩間航設計事務所を主宰しています。個人住宅はもちろん、カフェ・レストランなどの商業施設も含め、建築の設計をしています。例えばこちらは個人住宅なのですが、リフォームを手がけました。

上記二枚:岩間航設計事務所HPより

──こんなお家に住めたら最高です…!
今私たちがいるタスカフェのインテリアも、岩間さんが手がけたんですよね。とても居心地の良い落ち着く空間なのですが、家具や小物を配置するとき、どのように考えているのでしょうか?

岩間:二つのポイントがあります。家具でも小物でも何か一つのものを空間に置くときに

  • 周りとの“関係性”を二つ以上見つけて
  • その関係性を感じられるように考えて配置するということです。

どういうことかというと、例えばこちらの絵。

岩間:なぜここに飾ったのかというと、以下二つの関係性を見つけたからです。

  1. 絵のフレームと窓のフレームが、同じ長方形であること
  2. 絵の中の図形・絵の下にある青いカード置き・本棚にある本の立てかかっている姿、三つ全てが三角形であること

他の場所にも絵を置いてみたのですが、今の場所が一番、上記2.の関係性を見つけやすかったんです。それを活かしたいと思って、ここに飾りました。

──周りとの関係性を見つけるって、置きたいモノと周りにあるモノとの共通点を見つけるということなんですね。
この絵に関しては、四角や三角といった「形」で周りとの関係性を見つけましたが、他にはどんなものが関係性になりますか?

岩間:高さ・大きさ・素材・色・音・光・影など、本当になんでも関係性になります。絵が山みたいにも見えるから、もし窓の向こうに山があったら、絵と山がリンクするっていうのも面白そうですね。

──窓の外もですか!関係性って本当に自由に見つけられるんですね。
この絵を買ったとき、既に周りとの関係性を思いついていましたか?

岩間:絵を買ったときは全然考えてないです。この空間に絵を持ってきて、絵と周りとの関係性を探し出しました。

家具の場合は「ここに置いたらどうなるかな?」って予めイメージしたりはしますけど、「単純にこれ好き!」って買うときもあります。

実際にモノを空間に持ってきて、関係性を見つけながら居場所を探してあげるというのが一番大事だと思います。 

──よかった、安心しました。それなら私にも出来そうです。
ところで、関係性を“二つ以上”見つけるのはなぜでしょうか?

岩間:一つだけの関係性に依存していると、配置換えなどでその関係性がなくなったときに、「あれ、かわいそう。しょんぼりしちゃう」という感じになってしまうんです。分かりやすいように具体例をあげますね。

岩間:こちらの絵には、以下二つの関係性がありました。

  1. 絵のフレームと窓のフレームが、同じ長方形であること
  2. 絵の中の図形・絵の下にある青いカード置き・本棚にある本の立てかかっている姿、三つ全てが三角形であること

もし配置換えをして、2.のカード置きと本棚がなくなったとしても、1.の窓との関係性がまだ残っているから大丈夫なんです。一つの関係性がなくなっても、もう一つの関係性が生きるので、“二つ以上”の関係性を見つけるのがいいと思います。

──複数の関係性を持つことで、本棚を別の場所へ動かしても大丈夫という空間づくりの自由さも生まれるんですね。

岩間:ただ、これだけは気をつけて欲しいのですが、関係性は多ければ多いほどいいというわけでもないんです。ありすぎても、逆に一つのものを集中して見られなくなるので。

例えば窓から陽の光が入っているときに、何もない壁に光が落ちるからこそ、その動きや模様を見ることができます。もし光が落ちる場所に物がいっぱいあると、光と窓の関係性って見えにくくなる。だからそこには何も置かずに光が見えるようにすると、その光から別の関係性を部屋の中に見つけていくことができます。

岩間:どんなものでも素材・形・色など、何万も関係性となりうる可能性を持っているから、ある程度整理する必要があります。無限の関係性がある中でも「これを活かしたい!」と思う関係性を選び出すんですね。

──欲張りなので、関係性を見つけまくるところでした(笑)。
この「周りとの関係性」を見つけるという考え方は、どうやって思いついたんですか?

岩間:実は、僕が特別にこの考え方を思いついたわけではなく、みんな感覚的にやっていることだと思うんです。例えば写真を撮るとき、被写体だけを見るのではなくて、一緒に写る物・奥に広がる景色との関係性を見て、シャッターを切っていませんか?

その感覚を僕なりに分かりやすく言語化したのが、「周りとの関係性を見つける」ということになるんだと思います。

また、別名「デザインのお友達理論」とも呼んでいます。子どもの頃って人間関係に占める家族の割合がものすごく強くて、お母さんとの関係性がなくなったら生きていけないみたいな。小学校でもお友達グループがすごい重要だから、そこでいじめとかあったら死活問題だけど、他の友達との関係性も同時に築いていれば、それはそれだよねって思えるから。

──インテリアの話が人間関係に及ぶとは!でも本当にそうですね。一つの人間関係しかなかったら、なんだか怖いです。そうならないように家具や小物にも、複数の友達を見つけてあげる。「周りとの関係性」を見つけるということが自分ごとのように思えてきました。

タスカフェにある絵が、なぜ今の場所に飾られているのか?その理由を伺って知ったことは、空間には手掛けた人の意図があるということ。今まで空間を「素敵だな」と思うことはあっても、なぜこのデザインになっているのかまで意識を向けたことはありませんでした。

本は著者と会話するように読むものであるならば、空間は設計士やインテリアデザイナーと会話するものと言えるのかもしれません。彼らが空間へ向けた眼差しを想像しながら。

岩間さんに教えていただいた「関係性を見つける」という方法は、具体的で誰でも実践できるもの。センスに自信がなくても、このガイドがあれば安心して一歩を踏み出せそうです。みなさんは自分の部屋にどんな意図を込めますか?

さて、明日公開の記事では「関係性を見つける」という考え方を自宅のインテリアに活かす<実践編>をお届けします。

<つづく・明日公開>

写真:佐藤昭太


<プロフィール>

岩間航(いわま・こう)
1972年生まれ。東京理科大学理工学部卒。ベルラーヘインスティテュートアムステルダム(BiA)修士卒。 岩間航設計事務所(Co Urbanism & Architecture)主宰、タスオルグ、タスカフェ、+床(タストコ)主宰。
http://www.c-u-a.com/

 

この特集の目次

  1. センスに自信がなくても大丈夫。分かりやすいインテリア入門。
  2. 家への愛着が増すインテリア入門|理想の部屋を真似する前にしたいこと。
  3. 正解にとらわれない、自らの視点でつくりだすインテリア。だからこそ居心地がいい。

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この記事を書いた人:

よりそう。のスタッフ。お店のSNSを担当。 数年ごとに住みかを変える転勤族。いつか森の湖畔にある、小さな家に住むのが夢。InstagramやPinterestで、素敵な画像を集めるのが趣味。
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