よりそう読書会

作品を結びつける先は、仕事、感情、日常、人柄。誰もが異なる感想を持つ本の魅力。

当店のスタッフ3人で、作家・小谷ふみさんの作品について語る読書会を開催しています。

前回は、スタッフそれぞれが好きな作品を紹介しました。今日は、「小谷さんの作品を読みたくなる時」、「作品の魅力」について語る読書会の様子を、お届けします。

自分と静かに向き合う時間

スタッフ小栗:小谷さんの作品はどんな時に読みたいですか?

代表高崎普段は自己啓発本や成功した経営者の本を読むことが多いですが、それらは今ここにある問題を手っ取り早く解決するのにはいいけれど、人生におけるもっと深い本質的な問いへの答えを探したり考えたりする時に、小谷さんの作品を読みたくなります。

人が仕事をする理由は誰かを幸せにするためで、人の幸せってどういうことなのか分かってないと、いい仕事はできないと思うので。

例えるなら、キスの仕方ばっかり気にしている人に、いいキスはできなくて、なぜキスをしたいのか、どうやったら愛が伝えらえるかっていうのが人文の領域で、人を愛すためにはどうしたらいいのかを小谷さんの作品は教えてくれます。

小栗:私は、毎日なんとなく同じことの繰り返しで、日々を単調に感じることが多くなってきた時に読みたいです。

小谷さんは、日々の何気ないことを丁寧に観察して言葉に紡いでいるので、同じものを見ても私が感じる量と小谷さんが感じる量は全然違うなぁと、はっとします。

良いところも悪いところも、感じ取れるかは自分次第で、「こうやって世界を見てるんだ」といつもヒントをもらっています。

店長大浦やっぱり寝る前がいいですね。とんでもなく嫌なことがあったとしても、寝る前というのは明日に繋げる大切な時間。

自分の心をメンテナンスするためにも、良い睡眠のためにも、小谷さんの作品に触れると荒波が静かに収まります。

人が読むことによって初めて完結する作品

小栗:小谷さんの作品の魅力って、どんなところだと思いますか?

大浦小谷さんはいつも「大切なことってなんだっけ?」と問いかけてくれます。ハウツー本と違って答えは見せてくれないけど、逆にそれが深く心に刻まれて、自分で考えるきっかけをもらえます。

以前、小谷さんとのメールのやり取りで、「小谷ふみは『わたくしごと』を書いていますが、それを『自己表現』だと思ったことはなく、言葉に鏡をしのばせて、『あなたごと』でありたいという想いで書いています。」と話してくれたことがありました。

鏡があるかのように作品に自分が写ってしまう、反映されてしまう、だから寄り添ってもらえるような気持ちになれる。そこが魅力だと思います。

小栗:私が思う魅力は、登場人物の生き生きとした感情やストーリーが浮かんでくるところです。例えば前回、好きな作品として挙げた「クレヨンの記憶」の一節。

よく見ると、
1本、1本、ひらがなで名前が書いてある。
お義母さんの字だ。

「クレヨンに名前が書いてある」だと普通すぎるけれど、「1本、1本、ひらがなで」という言葉からは、お義母さんが大切に愛情を込めて名前を書いたことが、ありありと伝わってきます。

擬音語とか会話とか、その時の情景をていねいに言葉にされているので、つい口ずさみたくなりますね。

高崎想像力に訴えかける余白があるところが魅力だと思います。ハリウッド映画やテレビドラマは、「ここは泣くところです」というのが明確に分かりやすく作られていて、誰もが同じ感想を持つことが多いけど、小谷さんの作品は10人いたら全員感じ方が違うし、どう感じたかでその方の人柄が分かるのが面白いです。

人が読むことによって初めて完結する作品というか。だからこそ生きるためのヒントが見つかるんだと思います。

それにどの作品もそうですが、絶望や悲しさがあっても、最後に生きる希望を残すのがいいですね。本当に強い人しか書けないと思います。

作家・小谷ふみさんってどんな方?

小栗:小谷さんの作品を読むと、「こう表現するのかー!」と思う言葉が多いのですが、どうやって生み出しているのでしょうか。

大浦:以前、どういうふうに言葉を綴ってるのか聞いたときに、スケッチと似てますって教えてくれました。見たものをそのまま言葉でスケッチしてるから、ストレートに伝わって来る力強さがあるのかもしれないですね。

あとは、お店のレジに並んでいる時、ふと言葉が降ってきて急いでスマホにメモすることもあるそうで、呼吸するように、言葉と共に生きている方なんだと思います。

高崎:それにしても、感じ方が人それぞれで面白かったですね。

小栗:けんじさん(高崎)が言っていた、“人が読むことによって初めて完結する作品”というのは、本当にその通りだと思いました。

大浦:ハリウッド映画との比較も正にそうですね。小谷さんの作品は余白があって、誰の感想を聞いても「そういうこと考えてたんだー!」って発見が必ずあります。

1人1人に寄り添う作品には、小谷さんの利他的な人柄が表れていて。自分の思ってることを分かってもらおうとして文章を書いているのではなくて、誰かに届けたいという想いが根底にあるからだと思います。

高崎:これから出版する小谷さんの書籍『よりそうつきひ』のタイトルを見ても、僕たちのことを考えてくれていることが分かって、本当にありがたいの一言ですね。

大浦:そうそう!お店の立ち上げ当初からお仕事をご一緒させてもらっているけれど、自分の意志とか、こうすべきだという意見を相手に押し付けることは一切無いですね

私たちの考え方に耳を傾け一緒に歩んでくださって、これがプロフェッショナルだと、いつも学ばせてもらっています。

高崎:よりそう。の商品を買ってくれたこともありましたね。

大浦:あれすごい嬉しかったなぁ。なかなか出来ないことだと思います。

小栗:わー!それは嬉しいですね。

高崎:一方で誰かが辛い目にあってる時も、自分ごとのように悲しみ、時には怒っている姿を見ると、「利他的」という言葉が正に合うと思います。

大浦:さっき洋子ちゃん(小栗)が言っていた「思いを馳せる」ってぴったりな言葉で、小谷さんはそこが秀でていて、見えない部分も見ようと相手の心に思いを馳せるからこその、人柄と作品ですよね。

全てを受け止めてくれる作品

「小谷さんの作品には余白がある」、本当にそう思います。私たち3人の感想でも、小谷さんの作品を結びつける先は、仕事、感情、日常、人柄と様々でした。

人生における経験や価値観は人によって全然違うのに、誰もが自分と重ね合わせて、共感したり、答えを探したり、その全てを受け止めてくれる作品はなかなか無いと思うのです。

そんな小谷ふみさんの二冊目の著書『よりそうつきひ』を、当店より2018年1月に出版致します。売上の10%を入院中の子どもたちを支える団体へ寄付するプロジェクトに向けた、クラウドファンティングにも挑戦しています。

私たちが本を出版する理由はこちら。
前編:本は思いやりで出来ているから。
後編:家族に「おやすみ」と「おかえり」を言えない辛さを知っているから、言葉で明かりを灯したい。

『よりそうつきひ』を部屋の片隅に置いて、ご自身と重ね合わせていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。

読書会の感想も、当店のTwitterFacebookや、下にあります「記事への感想を送る」にてお待ちしております。

今回のような読書会の様子は、連載「よりそう読書会」として今後も企画を考えていますので、そちらもぜひ楽しみにお待ちいただけたらと思います。

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この記事を書いた人:

よりそう。のスタッフ。お店のSNSを担当。 数年ごとに住みかを変える転勤族。いつか森の湖畔にある、小さな家に住むのが夢。InstagramやPinterestで、素敵な画像を集めるのが趣味。

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