メンバー日記

ただきれいなだけでなく、 心の闇も受け入れられる絵の世界をお客さまへ届けるまで

こんにちは、店長の大浦です。

昨日より発売を開始した、画家・黒坂麻衣さんのトートバッグについて、発売までの道のりと裏側をお客さまへご紹介したいと思います。

絵画に報われない恋をする画家

黒坂さんとの出会いは、デザイナーの南舘が気になっているアーティストとして教えてくれたところから始まりました。それは一目惚れのようなもの。私は早速画集を購入し、ぱらぱらと絵を眺めていると、肩の力が抜けるような安心感がひたひたと湧き上がってきました。

「ああ、好き…!」そんな想いをつのらせた私は、玉砕覚悟のラブレターを送るような気持ちで、「今度会ってください!」と黒坂さんへメールを送りました。届いた返事は「ぜひ」とのこと!そして昨年の夏、私と黒坂さんははじめて対面しました。

原画もその場で見せていただき、想像以上の小さなサイズに驚きながらも、画面から受け取るのは、溢れんばかりの瑞々しいエネルギー。「絵が好きで好きでたまらない」というシンプルでいて揺るぎない強さのようなもの。

黒坂さんはご自身のSNSでこんな言葉を記しています。「絵画に恋している。けれど報われない。」「ああ、絵の具が乾くまでわたしは何をしたらいいんだろう」

その言葉からは、もどかしさも感じ取れるほどに、絵画というものに、頭のてっぺんから足のつま先まで没頭している様子が見えます。これほど心と身体を捧げるような存在に、人生で出会える人というのは、どのくらいいるのでしょう。

デザインが決まるまでの、焦りや不安との戦い

モチーフ選びは、黒坂さんから当店のイメージに合うような作品を候補に上げていただき、その後スタッフ全員で投票を行いました。結果、見事にバラつきながらも、どこか通じ合える共通点が見えてきました。それは「優しさ」がふわっと香るようなもの。そうして最終的に選んだのが、「みどりの風景」「桃」「deer house」の3点です。

作品が決まった後は、これを元に、当店のデザイナーの南舘がデザインを組みます。最終的なデザインが決まるまで、社内で議論を重ねた一つのことがありました。それは、黒坂さんから提供いただいた絵にデザイン要素を足すか、それともそのままが良いか、という議論でした。

私たちは、これまでの人生でアートというものに大きな影響を受けていて、アートの力を心から信じています。そのため、すでに十分な力をもっている絵にデザイン要素を足してよいのかという気持ちと、一方で、デザインにおいて「シンプル=なにもしない」ではなく、デザイン要素を足すことで絵をより引き立たせることもできるのでは、という考えもあり、その二つの狭間で試行錯誤を繰り返しました。

いろいろなアイディアが交わされ、なかなか議論がまとまらず、真っ暗なトンネルの中で途方に暮れるような状態に。それでも諦めることなくそれぞれの考えをすり合わせた結果、辿り着いた形は、ロゴを載せたデザインでした。

ぜひ注目していただきたいのは、トートバッグの種類によって、ロゴの載せ方はそれぞれ異なること。これは、作り手の想いに、使い手の暮らしに、そっと寄り添うような形。

私たちが目指したいのは、アートが日常に寄り添って、人の心を柔らかくしてくれるようなものづくり。それはアートと日常の架け橋になることでもあるかもしれません。このバッグが、誰かの心に寄り添うように、柔らかなひと時を紡いでほしいと願っています。

ただきれいなだけじゃなくて、
心の闇も受け入れられる絵を描きたい

トートバッグの試作品が出来た後、インタビューも兼ねて黒坂さんともう一度お会いすることに。その時は、これまでの歩んできた道のりについても、包み隠さず語ってくださいました。

普段の生活でも、常に光と色を追いかけていると話す黒坂さん。絵を描きながら、色のハーモニーに心地よさを感じ、色彩に心が救われているそうです。それは自分の心の澱みが昇華されるような感覚。「ネガティブな感情を反転したい。暗さは絵の中では悪いものじゃないんだなあと感じられるんです。」

社会に出ると、常に明るく前向きな「光」であることが要求されます。些細なことで傷ついたり、落ち込んで影を背負うと「ほら前を向きなよ」と促され、前を向けないと自分がまるでだめな人間のように感じられてしまう。

でも心の闇は誰にでもあって、それは決して排除すべきものでもなく、否定するものでもなく、押さえつけるべきものでもないはずです。きっと闇には、本当は優しさと強さがあって、黒坂さんの絵はそのことを教えてくれているように感じます。

「ただきれいなだけじゃなくて、心の闇も受け入れられる絵を描きたい」。

はじめて黒坂さんの絵と出会った時、どこか暗いけれども優しいヴェールに包まれているような安心感を覚えました。その安心感がどこからやってくるのか、黒坂さんの言葉を聞いて、謎が少し紐解けたように思います。

慣れないモデル業に奮闘しながら

トートバッグの写真撮影は、都内のスタジオを借りて、スタッフの天野と代表の高崎と3人で臨みました。
慣れないモデル業に悪戦苦闘しながらも、どんなポージングにするか、どんなコーディネートにするか、枚数を重ねて調整をしていきます。ポージングが板についてきた天野の指導を受けながら、キメ顔に挑む高崎。あまりの表情の硬さに、みんなで大爆笑。思わず、自分でも吹き出してしまっています(笑)。

この日、実物をはじめて見た天野は、どれを購入するか真剣に悩んでいました。「これもかわいい!」「でもこっちもかわいい!!」。自分たちが心の底から「ほしい!」と思えるバッグを目の前にして、私たち自身も心を踊らせています。

心によりそうものを、日常に

黒坂さんは、こんなことも教えてくれました。「私は絵を描きながら、自分の心を救っています。自分の心が救われていないと、誰かの心を救うこともできないと思うから。」

美術作品を自分のものにするのは難しい。けれども、バッグのように持ち歩けるモノとして、日常に寄り添ってくれたら、画家が作品に込めた思いというのは、必ず心に届くように思います。

それはもしかすると、日々接することで、作品と対峙した以上の心を、もたらせてくれるかもしれません。それくらいの力を、このトートバッグはもっていると、私たちは信じています。
そして心が柔かくなるものづくりに、これからも試行錯誤していきたいと思っているので、今後もぜひご期待くださいね。

ご購入はこちらからご覧ください。


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この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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