おどりの世界から教わる、柔らかな心と身体をつくる方法

スキップするだけでもいい。おどりで柔らかな心をつくる方法

特集「おどりの世界から教わる、柔らかな心と身体をつくる方法」では、ダンサーの神谷さんから、ダンス未経験者でも、身体感覚を開くことによって心を柔かくすることができる術を学んでいきます。

今日は、おどりの視点から学ぶ、日常で試したり、意識をするだけで、心が柔らかくなる方法を神谷さんから教えていただきます。

1. ただスキップするだけでいい

「何かを感じる瞬間を自分で見つける。ただ飛ぶ、ただスキップするだけでもいいんだってことがわかるだけでも違うんじゃないかな。」

動きには何が良くて何が悪いという判断基準はないそうです。それより、心が動きたい方に動くことが大切なのだと。「身体の機能をもっと信頼してもいいと思う。」神谷さんはそう付け加えます。

ワークショップの中で体験した、飛び跳ねるだけの動き。もうそれだけで、心はホロホロと解けていく感覚を私は味わいました。「くだらない」。理性ではそう感じるようなことが、実はとても大切で、心と身体が欲していることでもあるようです。

ちょっと心が疲れた帰り道、スキップをしてみると、目の前の景色が変わってくるかもしれませんね。

2. 実感をどれだけもつことができるか

「おどりをおどると、自分の身体の感性とか感受性といったものに繋がることができるんです。色々なことを、頭で考えるんじゃなくて、身体に尋ねてみると、身体の声や欲求が徐々に聞こえてくるんです。」そういった「実感」が大事だと神谷さんは言います。

「ダンサーが感じていることもお客さまに伝わっていると思うんです。人が実感したことって、ダイレクトに人に伝わるんじゃないかな。」

仕事や育児などに追われていると、頭で考えることの方が優先され、心と身体で感じていることに気がつかないフリをして過ごしていることが多いかもしれません。それは、一つ一つ立ち止まっていたら、前に進めないから。“大人”として生きていくためには必要な振る舞いでもあります。

けれど、器用な振る舞いを一旦置いて、心と身体が感じるままに動いてみると、苦しかった悩みも不安もイライラも一気に吹き飛ばしてくれる気がします。

実はワークショップを体験した前日、私は仕事で思うようにいかないことがあり、落ち込んでいました。要は、自分に自信を失くしいる状態。

そんな曇り空の心も、おどりを体験した後は、雲一つなく、たくさんの星が輝いている空を見上げるような心にガラリと変わりました。

自分の身体が感じている声に正直になるだけで、こんなにも心は変化する。たった3時間のおどりを通して、そのことを体感しました。

3. どんな人も、B面はダンス!

この企画が始まる時、おどりのワークショップという題目に、私はかなり怯んでいました。なんせダンスの経験がなく、苦手意識をもっていたくらい。踊るなんて、恥ずかしい。できるわけがない。ところがそんな思いも、終わってみるとどこへやら。

「おどりはすごい離れたところにあるんじゃなくて、人ってみんなB面はダンスなんです。」

ワークショップを終えた神谷さんは笑いながらそう教えてくれました。もしかするとおどりは人間の標準装備なのかもしれません。自分の身体がこんなにも感じることができる。その立派なスペックに、私も驚きました。

「実は肉体って閉じていないんだよね。感じる心と繋がっているんだけど、感じられるように動いてないだけで、それを解放していくと、すごく安心感と自由が生まれるんです。」

どんな人も、おどりの扉をもっている

息子の幼稚園へ行った時、こんな風景を目の当たりにしたことがありました。それは、先生による人形劇「大きなかぶ」を鑑賞する会のこと。

「うんとこしょ、どっこいしょ、かぶはまだまだ抜けません」。おじいさん、おばあさん、娘、犬、と登場人物が増えていく度に繰り返される、このセリフ。何度も何度も繰り返すにつれて、子どもたちの中でグルーブのようなものが生まれてきたのです。

それぞれの子どもが思い思いに身体を揺らして、大きな声で「うんとこしょ、どっこいしょ!」と叫ぶその姿を見ながら、私は椅子にまっすぐ座っていることしかできませんでした。「ああ、なんて子どもは素直で自由で楽しそうなんだろう」と。

「大人も子どももベースにもっている感覚って変わっていなくて、大人も実はできるんだけど、こっちの社会では成立しないから、できないことにしちゃっているだけであって、全然できるんですよ。」

この話を神谷さんにすると、そんな答えが返ってきました。どんな人も、おどりの扉をもっている。それは、身体と心を生まれた時からこの世を去る時まで、誰もが持ち続けていることとイコールで結ばれる真実。

おどりの扉が開いたことで、
心を大切にする一つの方法を手にすることができた

ワークショップを通じて、私はおどりの扉の鍵を手にして、入り口に足を踏み入れることができました。あの日の帰り道に見た風景を、今でも鮮明に身体は覚えています。

葉山から電車に乗り、たくさんの人でごった返す新宿駅を歩いた時。いつもならば、人の多さにうんざりしたり、イライラするのに、ものすごく楽しかったのです。

コロコロと自分の中のボールを転がすように、人と人の間をすり抜けていく。パラグライダーを運転するように、人混みをスイスイと泳いでいく。

「おどることで、身体感覚が開かれると心は柔かくなる」

神谷さんが教えてくれた言葉は、ワークショップを終えたあとも私の中で響いていました。おどることを知れば、人はどこでも生きていくことができるのかもしれない。あんなに嫌いだった新宿の人混みも、なんてことはないのだから。

誰しもがデフォルトで身体と心に備えている、おどり

おどりの扉が開いたことで、私は心を大切にする一つの方法を手にすることができたように思います。鍵はもう自分の手の中にある。それだけで心強い。

みなさんも、おどりの世界の入り口に立ってみませんか?身体と心のやりとりを。

そこには思いもよらない、自分の姿を見つけることができるはずです。そしてその心地良さに、思わずもっと奥へ、もっと深く入っていきたくなるかもしれません。

誰しもがデフォルトで身体と心に備えている、おどり。きっとあなたの身体と心はそれに気がつくことを待っているはずです。

この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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