石垣島移住日記

東京から石垣島へ移住した魚譜画家・長嶋祐成さんに聞く移住のリアル。(後編)

<この記事はこちらの記事のつづきです。>

移住してからの心配ごと

大浦
東京から移り住んで、すんなり暮らしもフィットしているようですが、後悔とかは全くないですか?

長嶋
全然ないです!心配しないといけないのはお金のことだけですね(笑)

大浦
生活費は東京に比べてどうですか?福岡はガス代とか、東京より高かったりします。あと害獣害虫対策費がけっこうかかってて。石垣島はどうですか?

長嶋
ゴキブリと蜘蛛は多いけど、蜂とかムカデとかはでないですね。

大浦
いいですねー…

長嶋
ははは(笑)。ムカデきついですよね。

大浦
はい。刺されました。蜂も踏んで刺されました。蜂って踏めるんだ、という事実に驚きました。

長嶋
費用もそうだけど、そのストレスってじわじわ圧迫されませんか?

大浦
確かにありますね。冬は虫が出てこないから、穏やかな気持ちになれているような気がします。夏はずっと蚊帳で寝てるんです。

長嶋
蚊取り線香じゃだめなんですか?

大浦
ムカデなので、下まである蚊帳なんです。ムカデに関してはいくらでも語れそうなので、次の質問に移りますね!

離れてみて感じる、都会の良さ

大浦
東京を離れてみて、都会はどう見えるのかという質問もありました。淋しさとかはありますか?

長嶋
いまのところ2ヶ月に1回、東京に帰っているから、どっちも楽しめています。

大浦
都会の良さって、離れてみてどういうところだと感じますか?

長嶋
やっぱり自分でやらないといけないことが少ないところじゃないですかね。色んな人が役割分担して成り立っていて、暮らしやすい場所だなって思います。

大浦
東京にいた頃と働き方も変化がありましたよね。

長嶋
会社勤めしている良さはあるなあと思います。自分ひとりでできることって限られていますし、自分の意志で何かをやろうって思わないと叶わないのは、嫌なわけじゃやないけどやっぱり大変です。

会社勤めは、大きな目的に向かって他の人と役割分担をして、社会に対して自分ひとりじゃできないことができるから、素晴らしいことだなあと感じています。そのことに対する焦りもありますし、昔自分がそういう環境にいたことに気付いていなかったなと今思います。

大浦
都会も田舎も、どちらが良くてどちらが悪いって、白か黒かに塗ることはできないですよね。私は移住してみて、それまで抱いていた田舎に対する憧れや東京に対する嫌悪感は吹き飛んだ気がします。それぞれががんばっているなあと。住んでみて、田舎ももっとがんばれって思う部分もありますしね。

長嶋
はい、すごくそう思います。

人の違い、自然の違い

大浦
私の住んでいる福津市は、コンビニのレジのおばちゃんは必ず子供にしゃべりかけてくれたりするんですけど、人の違いは感じますか?

長嶋
レジはですね、ゆっくりめです(笑)。そもそも、沖縄のスーパーって袋詰してくれるのが基本なんです。移住したての頃はバスで移動していて、家に帰るバスは2本しかないのに、それを逃したら帰れないのに、レジが思いのほかゆっくりで、タクシーで帰ったこともあったくらいです。

大浦
へー!そりゃ大変ですね。道に行き交う人は挨拶しますか?

長嶋
はい…でも道で人と行き交わないかも(笑)。漁港で釣りをする時は、人が親切だなあと感じます。東京の辺りは、港の人と釣り人はあまり交渉がないように感じるんですが、石垣島は話しかけてきたり、あっちに魚がいるって教えてくれたり、親切です。

大浦
石垣島の自然に対しては、どう感じていますか?やはり力強い?

長嶋
蟻がびっくりするくらい強いんです。それに加え、種類も多いんです。絵の上を歩いている蟻を潰すとその痕は消えないので、無慈悲にアリの巣コロリを使うんですが、数日すると違う種類の蟻が増えているんです。しかもみんな強くて、バチって叩いても、一瞬動き止めて、仕留めたと思ったらまた動き出す!

大浦
ひえ~(笑)!!サイズも大きいんですか?

長嶋
サイズ的には東京と変わらないですね。ただ、植物はすぐ大きくなりますね。自然の強さを考えると、亜熱帯より温帯の方が過ごしやすいかなとは思います

大浦
人間の営みがスムーズにいくということですか?

長嶋
はい。自然が強い分、それを押し返そうとする労力がある程度かかる以上は、温帯ではやらなくてもいいことをやるわけで、それは人間の限られたエネルギーを考えると、温帯の方が住みやすいんだろうなって思います。

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何かと向き合い、関係を築くためには

大浦
自然を守りたい、未来に残したいですか?という質問もありました。

長嶋
守りたいって思うんだけど、それはあまり人に言いたくないというか、言っても意味がないというか…ぼくが自然を守りたいって、単に好き嫌いと同じレベルだから、守りたいっていう気持ちはありますが、それを主張はできないなあと思います。人に説得する力はないです。

大浦
今回の長嶋さんの連載を読んだお客さまも、自然に対する見方というか、一つの視点や気づきを得たんじゃないかなと思っています。もちろん私自身も含めてです。連載を書いている時の心境はどうでしたか?

長嶋
自然と接して暮らすということは、自然を「守るもの」と考える意識だけでは成り立たないものだと思うんです。本当に何かと向き合って関係をちゃんとつくるっていうのは、全然心地良いことばかりでは済まないし、相手を立てるってことばかりでもいけないし、自分の主張もするというのが、相手と関係を築く時には必要だとぼくは思っています。

自然対人間だけでなく、人間関係を考える上でも同じで、自分の主張をしっかりするというのは大事だなあと思います。今回の連載を書きながら、「主張していいんだな。それをしないとちゃんとした関係づくりはできないんだな。」とあらためて思いました。

大浦
長嶋さんは、自分の主張をもちつつも、自分と違う考えの人間に対して開かれているような気がしますよね。だから安心して耳を傾けたくなるような気がします。

今日はいろいろお話聞かせていただき、ありがとうございました!

長嶋
こちらこそ、ありがとうございました!


長嶋さんと私が出会ったのは、確か4年ほど前のこと。それから何度かインタビューをさせていただいたり、記事を書かせていただいたり、もしかすると長嶋祐成についてこの世で一番語っているのは私なんじゃないか、というくらい追いかけてきました(笑)。

その長嶋さんが石垣島に移住をしてから、直接会ってはいませんが、どこか野生っぽさが出てきたな、と私は秘かに感じています。坊主のランニング姿からはもちろんのこと、目の奥が今まで以上に生き生きとしているよう。

「自分の好きに飛ぶこむ勇気がない」と言っていた頃が嘘のように、のびのびと今を満喫している様子。そして、とことん表現の世界を突き詰めている。きっとこの先も、長嶋さんにしかできない表現を通じて、人の心を海の向こうへ繋げる活動をされていくのだと思います。

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お客さまからの声を作り手に届け、作り手からまたお客さまへ言葉を返す、という今回の企画。インターネットという場所にお店をもつからこそ、実現できる試みだと感じています。双方向のコミュニケーションの豊かさをこれからも模索していきたいと思っています!どうぞご期待くださいね。

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この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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