人生の思い出箱

【人生の思い出箱】映画「ある結婚の風景」-遠い国の夫婦の姿から見えてくる、誰にでも置き換えられる結婚の風景

視聴率70%以上、離婚率急増の問題作「ある結婚の風景」

はっきり言って、観終わった後の感触は良くはありません。若干、しこりが残ります。それでも、大好きだと叫びたい!

突然失礼致しました。こんにちは、店長の大浦です。不定期連載でお届けしている「人生の思い出箱」、今日は心の奥に今でも響いている作品についてご紹介したいと思います。

スウェーデンの黒澤明と呼ばれる巨匠・ベルイマン監督の「ある結婚の風景」。出会ったのは今から2年ほど前、「ずっと昔から見たかったんだ」という嬉しそうにDVDを購入した夫に誘われてのことでした。

結婚10年目のおしどり夫婦が、あるきっかけにより、徐々にすれ違い、やがて別れに至るさまを描いたこの作品。TVドラマとして公開された当初、視聴率70%以上を集め、公開後に離婚者数が急増するなど、かなりの問題作だったそう。「哲学する夫婦喧嘩」と呼ばれるほど、全編、哲学的な対話劇で、あまりにもその内容が難しすぎて、正直私は途中ついていけなくなることも。観終った後はズドーンと気分が沈み、結婚とは、夫婦とはを、深く深く考えさせられます。

物語は、今から40年以上も前のストーリーで、スウェーデンという遠い国の話であるにもかかわらず、主人公の夫婦の対話の中に、自分たちの夫婦の姿がチラチラと見え隠れするのです。ものすごくリアルな一面が随所に散りばめられていて、もしかすると夫婦で鑑賞するのは良くないのでは、と思うほど。チラッと映し出される普段の自分の姿にも似た「妻」に、心の中の動揺は隠せません。

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夫婦とは、正解のない人間関係

幼い頃に思い描いていた「結婚」の風景。それは、もっと明るくて、甘い香りがして、キラキラと輝いていました。それは、小学生の頃にかじりついて読んでいた少女漫画の影響と、思春期に男子という存在を知らずに過ごした女子校の影響があるかもしれませんが、現実の結婚の風景とのその落差に、正直私はある種の絶望さえも感じることがありました。

喧嘩の絶えない日々、何度も繰り返すすれ違い、どうやっても歩み寄れない平行線な関係。「夫婦ってどうすればうまくいくんですか?」泣いて誰かにすがりつきたい気持ちになることもあります。

人は生きていく上で、いろいろな人と関係性を結んでいきます。親子関係ならば、無条件の愛で乗り越えられそうな気がする。友情関係ならば、涙とげんこつパンチとハグで乗り越えられそうな気がする。しかし、夫婦関係となると。

無条件の愛があるわけでもないし、涙もパンチもハグも簡単には通用しません。信頼はいつだって歪み始めるし、お互いに表の顔も裏の顔も入り乱れて、関係性を良くするための「これだ!」という正解もない。

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ただ仲良く暮らしていきたい、それだけのこと

「ある結婚の風景」で繰り広げられる、一組の夫婦のやり取りは、まさに、ある夫婦の結婚の風景を覗き見るようなもので、それは自分たちの姿を客観的に見ることでもあり、夫婦という関係性の普遍的なテーマが流れているのです。相手を傷つけ、罵倒し合って、泣いて、また求めては思い悩む、その姿を見ていると、夫婦ってなんて面倒くさくて、こんがらがっているんだろう、とため息をつきたくなります。けれども、そうだよね、とも思うのです。

夫婦喧嘩をする度に、私たち夫婦の個人的な性格が原因なのでは、と思い悩むこともありましたが、この映画に出会ってからは、そんなもんか、と思えてきたのです。映画の主人公であるヨハンとマリアンヌは、何度も言葉をぶつけ合いながら、何度もまた愛し合う。本当は「仲良く暮らしていきたい」。それだけなのかも、と。そしてそれは、自分たちに置き換えても言えること。

ただ仲良く暮らしていきたいだけなのに。そう思えると、なんだか腹が立っていたことも、悲しく落ち込んでいたことも、少しだけ軽くなるのです。言葉は悪いかもしれませんが、どうでもよくなってしまう。ぷぷっと笑いたくなってしまう。

人と生きるのは、やっぱり愛おしい

結婚について、夫婦について。それは、入門書が用意されているわけでもないし、教えてくれる大学も体験教室もありません。だから、人は迷っていいのだと思います。思い悩んでいいんだと。それが当たり前の姿なのかもしれません。

正解のないこの関係性は、一歩踏み込むと出口の見えない迷路に入ったようなもの。それでも、歩んでいる道の途中、想像もしないような風景に出会うこともあるから、人と生きるというのは、やはり愛おしいとも思うのです。

この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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