今日も未来も、残したいモノと想い

【今日も未来も、残したいモノと想い】作家・小谷ふみさんのショートエッセイ「桃太郎」

特集「今日も未来も、残したいモノと想い」、ここからは3日間連続で、作家・小谷ふみさんによる「今日も未来も、残したい想い」をテーマとしたショートエッセイをお届けしています。本日は、2日目の作品「桃太郎」です。(前回の作品はこちら)


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桃太郎

今年の誕生日プレゼントは、音楽プレーヤーにして正解だった。
昨日の夜、青春を駆け出したばかりの、
君のお気に入り曲の数々を教えて貰った。

買い物の帰り道、
ふいに一曲を思い出し、聞いてみて
気づいてしまった。

恋を、しているの?

今まで「オレ、頑張れ!」みたいな汗臭い歌ばっかり聞いていたのに、
「これが一番好きなんだ」と言っていた曲の歌詞に、
どきっとしてしまった。

しかも、別れの歌。
こんな歌詞の意味が分かるようになったんだ。

「桃太郎」みたいに育ったらいいなと思ってきた。
「気は優しくて、力持ち」な男の人になるようにと。

でも、「太郎」の部分がなくて、桃みたいに育ってしまった。
太郎部分は、どんぶらこっこ後から流れて来るかと思っていたけれど、
どうやら母には、桃の部分しか育てられないみたいだと、
最近、気づきはじめていた。

あとは、大事な人ができたりして、
その人を守るために、悩んだり傷ついたりして、
自分で作っていくしかないんだと。

自転車の後部座席に、小さな君を乗せて走った日々を思い出す。
ここから先は、君が大事な人を後ろに乗せて走るんだ。

夕暮れ、歌を聴きながら、
ちょっと泣けるのは、
何でかな。


つづく

この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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