わたしたちの体験ノート

【連載|わたしたちの体験ノート】#01「日常の延長線上にある『生』を知る、自宅出産(後編)」

*前編からの続きです。

絶大な安心感のあるお産

陣痛が10分間隔になってきたことがわかると、助産師さんに電話をかけます。同じ市に住んでいるため、車で15分ほどで駆けつけてくれました。出産当日は、いつもの助産師さんともう一人の二人体制。

自宅出産を通じて、感じたことはたくさんありますが、まずはなんといっても助産師さんが二人常にそばにいるという安心感が違いました。病院の時は、病室に夫と二人で残される時間が長かったため、かなり不安だったのですが、今回は絶大な安心感がありました。そして、陣痛の波がやってくる度に、助産師さんは背中やお尻に手を当ててくれます。これは、いきむ段階になるまでの、全ての陣痛の波において。

「手当て」という言葉がなぜあるのか、その意味を知ったようが気がします。人の手がもっている力というのは、人の身体に触れることで、想像以上に大きな力をもちます。

そして自宅で産むということは、当然家族もその場にいます。当時4歳の長男は、いつもはぐっすり朝まで寝ているのですが、その日だけは勘付いたのか、途中で起きてきてそばで見守ってくれました。いつもの布団で、いつものソファに座ったり、いつもの天井を見ながら、家族に見守られ、助産師が常に二人いてくれる安心感。もうなんて幸せなお産なんだろう、と痛みの中でも感じたことを覚えています。

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身体で産んだ、という感覚

そしていざ、赤ちゃんが生まれてくるまでの流れというもの。それは、とても自然だったように思います。「身体で産んだ」という感覚。生まれてくることに、自然も不自然もないとは思うのですが、恐らく長男の出産と大きく異なる点があるからだろうと思います。

長男の時は、子宮口が開くまで病室で待ち、7センチくらいになってきたら、陣痛待合室に移り、10センチになったら分娩台に上がり、看護師さんにいきんでいいよと言われたら、いきむ。「え、いきむってどうやってですか?」誰かの爪あとが残るグリップを恐る恐る握りながら、突然のGOに戸惑ったことを覚えています。

けれども、今回は身体に従うのみ。寒気がしたら温め、温まったら吐き、横になったら次第に赤ちゃんが下がってくるのを感じ、痛みが強まるにつれて叫ぶ(息子は怯えてガラス越しに見守ることに)、いきんでいいよと言われなくてもいきんで良いことがわかり、最後の2回くらいのいきみはもう面白いと感じるほどに。

そしてゆっくり、とてもゆっくりと赤ちゃんは出てきました。熱いと暖かいの中間の温度に包まれながら。人がこの世に自分の力で出てくる瞬間というのは、こんなにもゆっくりで、熱に包まれているものであることを知りました。そして産声は、とても小さく優しい声でした。

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生まれることは日常の延長上にある

「昔に比べると、生と死というものが、家や暮らしの中から病院という場所にもっていかれているんですよ。」

ある時の診察で、助産師さんが教えてくれました。家で誰かが亡くなった時、今は警察を呼ばないといけない時代。生まれることも、死ぬことも、病院という場所がいつからか中心になっている時代に私たちは生きています。自宅出産を通じて感じたのは、生まれることは日常の延長上にあるということ。けっして非日常、イベント的なことではなく(もちろんおめでたいことではありますが)、ごくごく自然な人間の営みの一つであること。

無事に赤ちゃんが生まれて2時間ほど経つと、助産師は帰っていき、いつもの布団に入り、いつもの天井を見上げながら、家族4人で川の字に寝ながら、そんなことを感じました。

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それにしても、人間の身体の中ってあらためてすごい作りですね。へその緒や胎盤を今回まじまじと観察することができたのですが、よくもこんな大きなものが私の身体の中に入っていたもんだ!と感心してしまいました。白くてぷにぷにしているへその緒、きちんと袋でまとまって出てくる胎盤。何もかもが柔らかくて、曲線なのです。

曲がっているということ。曲げられる余裕があるということ。そこに、命の強さが宿っているのかもしれない。そんなことも感じた、自宅出産でした。

この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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