心によりそう、聞く力

【心によりそう、聞く力】第3話「会議の進行、悩み相談の時に活かせる『聞く力』」

ファシリテーター・木村航さんに学ぶ、心によりそう聞く力。木村さんが大切にしている6つのポイントを教えていただきました。それらを身近なシチュエーションでどのように活かすことができるのか。木村さんのインタビューの中でいくつかわかりやすい例が上がったので、ご紹介したいと思います。

場面1:会議や話し合いの進行をする時

「状況を共有して、ゴールを決めて、役割を決める。この3つがあるだけで、会議は違うと思います。」

例えば中学校の文化祭。何をするか決める状況を思い浮かべてください。「たこやき」「おばけやしき」「迷路」。いろいろ案は出るけれどなかなか決まりません。それは、目指すことが何か共有されていないから。選ぶことができない、判断材料がないことが原因であったりします。さらに木村さんは、こう加えます。
「どこを目指すかが明確であると、何をすべきかは簡単に出てくると思うんです。」

共有=感情や気持ちではなく事実を積み上げる。ゴール=目標を何にすべきか。それが合意できたら、役割を決める=いつ、誰がやるかを決めて、その場を閉じる。
何をすべきかを話す会議は多いけれど、どこを目指すかを言葉で共有している会議は少ないように思います。わかっていそうで曖昧なのが、ゴールの設定。ここを明確にすることは、会議の進行役として「聞く」場面では役に立つのかもしれません。

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場面2:人の悩み相談にののる時

悩みを聞く時に特に大事なポイントとなるのは「感情と事実を分けること」だそう。けれども実際には、明確にわけることは難しいものです。一対一で話しをしている時、具体的に木村さんはどのような言葉を返しているか教えてくれました。

「例えば『小学2年生になったら、学習塾に行った方がいいじゃない』といった相談を受けたとします。けれどそれは、その人の前提条件なんだなと感じられる気持ちであり感情。そんな時は、相槌として『そういうふうに思ってるんですね』と返す。」

相槌として「がんばってるね」「すごいじゃん」というのは、あくまでも聞き手側の感情や意見。相手が悩んでいる時というのは、実はそれらは求められていないのかも、と木村さんは言います。それよりも大事なのは、共感するということ。だから相槌は「そうなんだ」「そうかそうか」で良いのだそうです。

悩み相談をされると、相手の力になりたいという気持ちから、ついつい頑張って励まそうとしてしまいますよね。私自身もそうですが、そうするとだんだん聞いていて疲れてきてしまうことも事実。判断を手放す、ということとセットで感情と事実を分けることは、聞き手にとっても、話し手にとっても気持ちが楽になることなのかもしれません。

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そしてインタビューの最後に、心によりそう聞く力、とはどういうことなのか、木村さんはこんな話をしてくれました。

寄り添うよりも、もっとテクニカルなこと

「まず前提として、僕は心なんかに寄り添えていない。出来ないと思っています。寄り添うという言葉は、あくまでもしてもらった側が評価する時の言葉で、聞く側からは寄り添うっていうことよりも、もっとテクニカルなことのような気がします。自分を空にすること。客観視すること。本当に寄り添えないながらも僕なりに自分の判断や感情を意識して、手放して、話し手と同じ目線で眺めようとする。自分をいったん離れること。匿名の自分になるようなことだと思っています。

匿名性の高いこと、つまりは誰でもできる可能性があるということ。木村さんの言葉を聞いて思い浮かんだのは、民芸品。有名な作家さんが作ったお皿です、といった個性や主張はない。かといって、大量生産のお皿のように、そっけないわけでもない。生活の中で使いやすく、馴染んでくれる、ついつい食器棚の中からいつも選んでしまう一枚のお皿のようなもの。美しさやかっこよさで人の心を動かすわけではないけれど、使い手に寄り添ってくれる存在。その姿に心によりそう聞く姿は近いのでは、と。

相手に寄り添いたい、という気持ちはもちろん大切。けれども、気持ちは一旦置いておいて、それよりも逆に心を空にすることが結果的に寄り添うことにつながるのでは、という答えがうっすらと見えてきました。

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 聞く力は、人との関わりを深める力

実はこのインタビュー、2年前の夏の話。
こうして記事化をする時、正直内容が古くなっていないか不安もありました。けれども、再び開いた話しの中身は、全く色褪せることはありませんでした。それは、内容が普遍的な側面が含まれているからかもしれません。木村さんはもしかすると、5年後にはポイントの1つか2つは変わったというかもしれない。けれども、ここに記されている根底にあるものは、10年後も、きっと10年前も変わらないことのように思います。

人は人と関わりながら生きていくもの。
その中で「聞く」は、その関わりを深める力を、どうやらもっているようです。
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<目次>
プロローグ|「聞く」の達人、ファシリテーターから学ぶ「聞く力」(5月18日)
第1話|どんな「聞く」場面でも、大切にしたい3つのポイント(5月19日)
第2話|ファシリテーターの「聞く」技術から学ぶ、3つのポイント(5月20日)
第3話|会議の進行、悩み相談の時に活かせる「聞く力」(5月21日)

この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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