心によりそう、聞く力

【心によりそう、聞く力】第2話「ファシリテーターの『聞く』技術から学ぶ、3つのポイント」

ファシリテーター・木村航さんに学ぶ、心によりそう聞く力。はじめに教えていただいたのは「待つ」「受け止める」「判断は手放す」。これは、「聞く」という行為の一般的な姿勢の話でした。次に教えていただいたのは、木村さんがファシリテーターとして、複雑なことを解きほぐしたり、前向きな話をするためのスキルとして大切にしているポイントです。

ファシリテーターの技術から学ぶポイント

その1:感情と事実を分ける

まずはじめは、特にファシリテーターとして聞く時に木村さんが大切にしているポイントとのこと。それは、「感情と事実をわけること」。

「聞く」姿勢について考える時、どんな質問をすれば聞き上手なのか、と考える人は多いかもしれませんが、実は問いの内容よりも、聞いたことを感情と事実に分けることの方が大切なようです。

インタビューの冒頭で私が語った(いつの間にか語らされた!)「良い聞く、悪い聞く」の例を取り上げて、木村さんは説明してくれました。

例えば、麻衣さんの『夫は私の話を聞いてくれない』という言葉は、麻衣さんにとっては事実のように思えるけど、聞く側は『麻衣さんから見た旦那さんはこういう人という判断や気持ちをもっているんだ』と受け止める。そして『具体的にどんなことがあったの?いつどんな場面で旦那さんが何て言ったの?』といった出来事を質問して、その答えを一緒に眺めてみて、『こういう出来事から意見を聞いてくれないという結論になったんだね』と確かめてみる。そうすると初めて、話し手が気づかなかったことが現れたり新しい発見があったりすると思います。

それは簡単に例えるならば、部屋の温度が26度の時。それを「暑い、寒い」というのは、それぞれの感情や気持ち。けれども、事実は室温が26度ということ。人の言葉の裏側には、こうした感情と事実がもっと複雑に入り交ざっています。時にはがんじがらめにもなっていることもある話し手の思いを、聞き手は紐解いていくことで、客観的に状況を見据えることができるのかもしれません。

話し手の気持ちは受け止めた上で、聞き手は事実を質問して目の前に積み重ねていくと、ある時点で一緒に事態を客観的に眺めることができるんです。

「聞く」というプロセスの最終的なゴールは「事実を一緒に眺めること」と木村さんは言います。そのために役立つポイントを次に教えていただきました。

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その2:視覚化する

「視覚化する、つまりは見える形にすること。」

木村さんは、会議やワークショップをする時、必ずやっている作業があるそうです。それは、どんどん引き出していった事実を紙に書き写す、ということ。実際、私が「良い聞く、悪い聞く」を語った時も、木村さんはホワイトボードにどんどん書き写していく作業をしていました。

そして書く時に大切なのは「自分が解釈したことを書くのではなく、言ったことをそのまま書くこと」。ついつい書いているとまとめようとしてしまいますが、前回のポイントで説明した「判断は手放す」にも通じるように、話し手の言ったことをそのまま書くことが大切。書いたものを眺めることで、話し手側としても言って忘れていたことを思い出したりと、気づきにも繋がっていくようです。

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その3:結び目をつける

ある程度事実を積み重ね、受け止めることが一通りできたところで、木村さんはこんな言葉を投げかけることがあるそうです。

「ベストな状態ってなんだと思う?」「今じゃなくて良い未来ってなんだろう?」

特にワークショップは、ゴールがどこかが大事。話し合いの場の目的は、色々な情報や思いを話したり聞いたりして構造化し、その先に方向性をみつけて動き出すことが最終目標と言えます。人が集まって話し合っても、意外と目標やゴールは暗黙の了解とされ、言語化されることなくその場が終わることも。意味のある集まりにするためにも、ゴールやその先の未来について語ることは大切な結び目のような役割だと言えそうです。

そしてファシリテーターという役割を担っている時、最終的な判断は相手に任せる、と木村さんは言います。

「判断するのは最終的には相手。聞き手としては判断をせずに、最終的な意志を聞く。そしてその意志に対して『そうか』って承認する。たぶんみんな大事なことは経験して、答えはもっている。」

それを言葉にするための問いかけをするのが、ファシリテーターという役割なのだと教えてくれました。

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「感情と事実を分ける」「視覚化する」「結び目をつける」。気の利いた質問を投げかけたり、相手のためになるアドバイスをして導いたり、うまいと言われる聞き上手の姿とは少し違う。前を歩いていくプレイヤーと共にゴールを目指していく、キャディーさんのような姿が、木村さんのお話を伺っているうちに見えてきました。

ファシリテーター木村さんから学ぶ「聞く力」
大切な6つのポイント

  1. 待つ
  2. 受け止める
  3. 判断は手放す
  4. 感情と事実を分ける
  5. 視覚化する
  6. 結び目をつける

木村さんから教えていただいた6つのポイント。これらは全てオリジナルの考えではなく、あくまでも本で学んだことや、経験から得たものの寄せ集めとのこと。それでも「聞く」に向き合ってきた人から語られる言葉には、試行錯誤を繰り返し磨かれてきた、重みのようなものがありました。

「聞く」場面は、仕事でも暮らしでも日常にゴロゴロと転がっているもの。その一つだけでも、聞く姿勢をいつもと変えてみると、何かが見えてくるのかもしれません。明日は身近なシチュエーションを取り上げて、その中でどうポイントを活かすのか、より具体的に学んでいきたいと思います。

<目次>
プロローグ|「聞く」の達人、ファシリテーターから学ぶ「聞く力」(5月18日)
第1話|どんな「聞く」場面でも、大切にしたい3つのポイント(5月19日)
第2話|ファシリテーターの「聞く」技術から学ぶ、3つのポイント(5月20日)
第3話|会議の進行、悩み相談の時に活かせる「聞く力」(5月21日)

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この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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