心によりそう、聞く力

【心によりそう、聞く力】第1話「子どもとの会話。仕事での会話。どんな『聞く』場面でも、大切にしたい3つのポイント」

はじまりは、寄り添って聞いてもらう体験から

ファシリテーター・木村さんが拠点としているのは「浜の家」と呼ばれている、津屋崎千軒の海岸沿いに立つ大きな古民家。この場所は、寺子屋の学舎でもあり、春・夏・冬には泊まり込みの合宿もするのだそう。
広い庭を眺めることができる気持ちの良い縁側、たくさんのお布団を並べることができそうな広々とした居間、ちょっと仄暗い土間を通るトイレ。それは少しだけ日常を忘れさせてくれるような場所でもあります。

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はじめに木村さんから切り出されたのは、「麻衣さんの『良い聞く、悪い聞く』の例を出してほしい」とのこと。インタビューのつもりで臨んでいた私でしたが、聞き上手の木村さんの前で、最近の夫との喧嘩話や、過去の人間関係の悩みなどを、いつの間にかツラツラと話すことに。それはまさに寄り添って聞いてもらう体験。
一通り私が話しをした後に、木村さんはまるで謎解きをするように、私の事例を眺めながら、そこに隠されている大切なポイントを一つずつ説明してくれました。

どんな「聞く」場面でも、大切なこととは?

教えていただいたのは6つのポイント。その中でまずは、「聞く」という行為の一般的な姿勢に関わる3つの観点から。それは、どんな「聞く」場面でも、大切なポイントということができそうです。

その1:待つ

1つ目は、木村さんが「聞く」という行為において、一番大事だと思っているポイント。それは「待つ」ということ。

「相手の言葉が詰まる、沈黙がきた時、質問や自分の意見で埋めたりしない。答えや進みたい方向は、話し手がもってるから、聞き手はそれを信じて待っているのが、最善の聞く姿勢だと考えています。

木村さんと話している時の、安心して話せる空気感。そのヒントがここに隠されているように思いました。たとえ言葉が詰まっても、木村さんからはじっと待ってくれるのです。まるで「大丈夫だよ」と言っているかのように心をこちらに傾けながら。そこには信じて待つ姿が見えるからなのでは、と。

きっとこれは、ビジネスシーンに限らず、日常の「聞く」場面でも同じことが当てはまるように思います。例えば子どもと話す時。大人に比べて気持ちの言語化が上手ではない子どもは、なかなか言葉が出てきません。子どもの気持ちを汲んで「こういうことでしょ」と言いたい気持ちをグッと抑えて、待つ、ということをしてみると、見えなかった子どもの心がパッ見えてくるような気がします。

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その2:受け止める

次のポイントは「受け止める」。これは相手の言葉や感情を受け止めることであり、さらに受け止めるという姿勢を相手にも見せること。

木村さんから参考文献として紹介していただいた本の一つ「ミーティングファシリテーション入門−市民の会議術(青木将幸著)」。そこにはこんなことが書かれています。

誰にでもできるファシリテーションの一番目は、「うなずく」ということ。

「目線を合わせるだったり、うなずくだったり、体を必要に応じて向きを変えるとか、けっこう意識してる。しなくなったのは、腕を組むってこと。ついつい心許ない時にやってしまったり、自分を守ってる感があるよね(笑)。
言葉の上では『そうだよね』って言いながら目を合わせなかったり、体を反対に向けてたり、携帯いじってたり、
そういう姿勢は話す相手にとっては『受け止めていない』と感じるサインになる。
だから、
聞くという行為は、体全身を使って初めて相手に『聞いてもらっている』と思われるんじゃないかな。

相手が真剣に聞いているか聞いていないか、実は私たちは瞬時に感知する力をもっているように思います。そしてそれは、相手の言葉からだけでなく、相手の動きからも読み取っている。たかが「うなずく」という小さな動作さえも、積み重ねていくことで「この人は私の話しを真剣に聞いてくれているな」という安心感を相手にもたらすことができるのかもしれません。

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その3:判断は手放す

3つ目のポイントは「判断は手放す」。それは「相手の言葉を受け止めるときに、その内容を鵜呑みにしなければいけないということではく、自分の価値観で相手を測らず、その内容を話し手と一緒に眺めてみるということ」。

人と話しをする時、ついつい正しい正しくない、ふさわしいふさわしくない、時には良い人悪い人、といった判断を、私たちは頭の中で無意識に判を押すように識別しているように思います。その判を押している自分をまずは意識すること。その上で手放すことが大事だといいます。さらに木村さんは、こう続けます。

「ジャッジしないとどうなるか。共感することになる。」

例えば、悩み相談をしている時。励ますつもりで「それ、すごくいいと思うよ!」と言葉を返すことがありますよね。実はこの言葉にも聞き手の意見が含まれています。自分の判断を保留したときに初めて相手と同じ目線になることができ、共感することに繋がっていきます。木村さんは普段「聞く」場面では、相槌を打ったり、ときどき話し手の言葉を繰り返すにとどめていると教えてくれました。

「『聞く』ことに関しては、共感して相手と同じ目線に立つことが大事。」これは木村さんが大切にしている考えの一つだそう。そのためには、判断しようとしている自分や、聞いているときの自分の感情も意識する必要があるとのこと。相手の言葉を判断したり何かの感情が起きるのは誰もが無意識にしているもの。そんな自分を意識して、受け止めて、手放すには練習が必要で、それは聞く「技術」と呼んでもいいかもしれません。木村さんも仕事の中で日々意識しているそうです。

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「待つ」「受け止める」「判断は手放す」という3つのポイント。これは、共に技術として練習をして身に付けていくことができるそうです。一見簡単そうに見えますが、実は実践するとそれまでの自分の聞くクセ、のようなものが浮かび上がってきて、そのクセを直すことはなかなか難しくもあります。それでも、まずは自分の聞く姿というのを、客観的に捉えることがはじめの一歩なのかもしれません。

<目次>
プロローグ|「聞く」の達人、ファシリテーターから学ぶ「聞く力」(5月18日)
第1話|どんな「聞く」場面でも、大切にしたい3つのポイント(5月19日)
第2話|ファシリテーターの「聞く」技術から学ぶ、3つのポイント(5月20日)
第3話|会議の進行、悩み相談の時に活かせる「聞く力」(5月21日)

この記事を書いた人:

よりそう。の店長。ウェブマガジンの編集長、オンラインショップの店長業務を担当。2014年から、夫でもある社長・高崎と共に、東京から福岡へ移り住む。海と山とあたたかな人に囲まれながら、息子二人の育児にも奮闘中。

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