Product Story

【Product Story】魚譜画家・長嶋祐成 iPhoneケース「絵の中に込められた、好奇心を動かす力。」

Sebastiscus_marmoratus

魚という存在について、
私たちはよく知っているようで、
実はあまり知らないのかもしれません。

その可愛らしさを、そのかっこよさを、
そのしなやかさかを、その力強さを、
その繊細さを、その優雅さを。

「何億年という進化に磨かれた
われわれ生き物の姿には、
この世界で暮らす上での合理性と
その美しさが詰まっている」。

魚譜画家・長嶋祐成さんは、
幼い頃から追い続けてきた魚の世界を
見つめながら、そう語ります。

人間が決して生み出すことのできない美しさ。
人間が決して暮らすことのできない海の底。
人間が決して全てを説明することのできない
自然の摂理。

絵の中で活き活きと泳ぐ魚の姿は、
人の心をぐっと掴むだけでなく、
その奥にある捉えきれないほど深くて、
それでいて面白さに満ち溢れている世界へ
連れていってくれるのです。

絵の中に込められた
好奇心を動かす力

長嶋さんは、小学生の頃から
生き物の絵を描くことが好きで
本格的に絵を描き始めたのは、6年前ほどから。

普段は、マーケティング会社で働きながら
週に一度、自身のウェブサイト「uonofu」で
魚の絵と文章を発信し続けています。

2012年10月に始まり現在まで、
毎週欠かさず
金曜日の夕方までに仕上げる。
それは、「飽きっぽい性格の自分が
これまで唯一続けられてきたこと」だとか。

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絵の中に込められているのは、
水族館がもっているような、人の好奇心を動かす力。

「水族館というのはあの薄暗い空間で
ガラス一枚隔てた向こうに海の底の世界があって、
本来は人の知的、美的好奇心を
すごく刺激する場だと思うんです。
もっとあの青い空間で感じていたはずの好奇心の高揚が
外の世界にまで持ち出されればいいな、と。」

長嶋さんの魚の絵と文章を目の前にすると、
魚への興味がじわりと湧いてきます。
それは無関心レベルでも、突き動かされる力。

魚たちの、形、色、柄。
あまりにも鮮やかだったり、グロテスクだったり
緻密だったり、不可思議だったり、
「なぜ?」と思わずにはいられません。
そしてだんだんと「かわいいな」「かっこいいかも」と
愛着さえ感じられてくるのです。

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絵も文章も
「その魚らしい表情」を追い求める

魚の絵を描くとき、そして文章を書くとき。
二つに共通して長嶋さんが大切にしていることは
「その魚らしさ」を追い求めること。

「図鑑の絵って本当は特徴を一番伝えるものだけど、
逆に要素をそぎ落としているというか。
標準語みたいに、
本当はどこにもいない魚になってるんです。

本物の魚はこんなにまっすぐにぴたっとしていないし、
のびていないし、筋肉のつき方によって、
ひれの広げ方がかわる。
だからその魚らしい姿形、身の反り、
ひれを描きたいんです。」

例えば、メバルならば
釣られると尾びれをピッとあげる姿。
自分がメバルらしいと思う姿を、
とことん突き詰めていくそうです。

「その魚らしい表情」。

まるで絵の中に命を吹き込むかのように
つぶさに愛をもって観察された魚の姿は、
見る人の心にスッと入り込んで好奇心を掻き立てます。

そして絵に添えられている文章は、
まるで深い思考の中でじっくりとその魚を
調理してから表現したかのよう。

「スーパーのサバもいいけれど、
生きたサバの背の美しさは形容が難しい。
透き通った体表の向こうに空間が広がっているような、
不思議な3D感がある。

その空間は、酸素がたっぷりと溶け込んだ
深い滝壺のような青緑色をしている。
目をうんと近づけて覗き込む、
その角度を変えるごとに複雑に色が移り変わる。
うすい青緑色の釉薬を使った焼き物の
透明感と光の多彩さに少し似ている。
マサバ Scomber Japonicus

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自分の表現するものが
世の中に役に立つようなものになれたら

2年前から作品をウェブサイトで発信し初めて
今では海外にもファンがいるほどに
「uonofu」の世界は広がってきています。

たくさんの人を魅了している絵と文章。
けれども長嶋さんが自分を見つめる姿は
至って冷静です。

「自分が一番好きなことに、
本気で取り組むことがやっぱりこわい。
踏み込む勇気がなくて、そこの周りをぐるぐる
まわっているんだろうなって思います。」

そして遠慮がちに、けれどもまっすぐに
前を見据えてこう話します。

「青臭いけど、自分の表現するものが
世の中にちょっと役に立つようなものに
なれたらいいなと思います」。

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スーパーにも、食卓のお皿の上にも、
公園の池にも、レストランの水槽にも。
私たちの暮らしの中で、身近に存在している魚。

当たり前にある、その存在の奥深さを知ったとき。

これまで見えてなかったものが、見えてきて
これまで触れなかったものに、触れたくなって
知りたい、もっと知りたい、と突き動かされるのです。

なんだか魚が見たくなってくる。

世界に散りばめられている
美しさや面白さというのは、
私たちの近くにいつだって
転がっているものなのかもしれません。

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※この記事は、2012年12月3日に公開した
インタビュー内容を元に再編しています。

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この記事を書いた人:

「よりそう。」館長。時として編集長に変身し、ライターとして駆け回り、ドローンも飛ばしちゃいながら、訪れるみなさんをお出迎えします。好きな本は、稲葉俊郎『いのちを呼びさますもの』。好きな料理は、さつまいも料理。
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